普段何気なくつかっている「干支」という言葉ですが、ほとんどは使い方を間違っていることはご存知でしょうか?
干支と言えば、ねずみ年とか午年等の12の動物を思い描くかと思いますが、12の動物で表すものは十二支と呼ばれるものです。
干支は十二支と十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)を組み合わせた60を周期とする数詞(数を表す言葉)です。
このコーナーでは、十二支として使われている干支と、本来の干支、両方について説明します。
干支の起源
干支は十干と十二支にわかれますが、それぞれで起源が異なります。
十干の起源
十干は、中国の殷(紀元前17世紀頃~紀元前1046年)にはあったとされています。
西洋ではユダヤ教・キリスト教の6日間で世界を作り7日目に休息したことから7日間を週とする基準を作ったと言われています。太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星の7つの天体が元とも言われており、諸説あります。そして1ヶ月を4分割していました。
古代中国では1ヶ月を3分割して「旬」(10日単位)という単位を作り、十干とい順序符号をつけました。
十干は順序符号、つまり1から10までを表す符号(しるし)だった訳です。
十二支の起源
古代中国では木星は特別な星でした。そして木星は地球から見た時、約12年で地球を1周するので、12という数字が時間を考える元となりました。
1年間の12ヶ月、子の刻・丑の刻といった1日を12の時間で区切るもの、時間の概念として12はよく使われた訳です。
古代中国において1から12までを表すのに使われたのが十二支です。
干支はなぜ60通りなのか?
干支は十干と十二支の組み合わせなので120通りになるはずなのに、60通りしかありません。それはなぜか?12と10の最小公倍数が60になるためですが、それだと意味がわからないと思います。
理由は
- 十干は「甲・ 乙・ 丙・ 丁・ 戊・ 己・ 庚・ 辛・ 壬・ 癸」が順番で「 癸」が来たら、また「甲」に戻るというルール
- 十二支は「子・ 丑・ 寅・ 卯・ 辰・ 巳・ 午・ 未・ 申・ 酉・ 戌・ 亥」が順番で「亥」が来たら、また「子」に戻るというルール
があるため、最小公倍数の60通りになったからです。
もっと干支が60通りになった理由は下記記事をご覧ください。
干支一覧
干支の一覧です。
順番や年代が入った干支の一覧は下記をご覧ください。
十二支の日について
土用の丑の日という言葉はよく聞かれます。また戌の日は安産祈願に良いともよく言われます。
他にも十二支の日はいろいろな言われがあり、運勢に影響してくることもあります。
十二支の日についてそれぞれを詳しく説明していきます。
子の日に関すること
十二支の子(ね=ねずみ)に当たる日を「子の日(ねのひ)」と言います。
また正月の最初の子の日に、人々が野外に出て小松を引き抜いたり若菜を摘んだりし、宴遊を行って千代(ちよ)の長寿を祝う行事から転じて、正月七日の行事となりました。ただし、現在ではほぼ行われなくなっています。
ねずみ算式に増えると言われるほどネズミは子を生むことから、子の日は子宝祈願に向いているとも言われています。
また甲子の日(きのえねのひ)は大黒天と縁のある日とされ、金運・商売繁盛に縁起の良い日とされており、縁結びにも良い日とされています。
丑の日に関すること
十二支の丑(うし)に当たる日を丑の日と言います。
丑の日と言えば「土用の丑の日」を想像する人が多いと思います。夏季の土用の丑の日には「う」のつくもの(主にウナギ)を食べると暑気あたりしないと言われています。
日本各地(主に西日本)では2月や11月の丑の日を特別の日として行事を行うところがあります。
寅の日に関すること
十二支の寅(とら)に当たる日を寅の日と言います。
寅は「千里を行って千里を帰る」という中国の諺からすぐに帰ってくるということで、旅行に行くのに良い日とされています。
また寅は黄色と黒は金運の象徴であり、最近では出ていたお金がすぐに戻ってくる解釈して、金運の良い日として財布を購入するのに良い日とされていたり、宝くじを買うのに良い日とされています。
反面、結婚だとすぐに戻ってきてしまう、葬儀だと死者が戻ってきてしまう、ということで結婚と葬儀には向いてないとされています。
卯の日に関すること
十二支の卯(う=うさぎ)に当たる日を卯の日と言います。
あまり馴染みの無い十二支の日ですが、うさぎは1度に数匹の子を生むことから卯の日は、子宝祈願に向いていると言われています。
また卯は跳ねることから相場に良い日とも言われています。
なお中国の一部やタイ・ベトナムではうさぎの代わりに猫が十二支の動物になっています。
辰の日に関すること
十二支の辰(たつ=龍)に当たる日を辰の日と言います。
龍の日と聞くと縁起が良さそうに思えますが、特に目立った縁起がある日にはなっていません。
一部の神社では辰の日に参拝に行くと、より一層力を与えていただき、守り助けてくれると言われています。
妙義神社では辰の日詣という言葉があり、力をいただき守って助けてくれるとされています。
住吉大社を始めとする住吉神社系列では、毎月最初の辰の日に参拝すると同じく力をいただき守って助けてくれるとされています。
巳の日に関すること
十二支の巳(み=蛇)に当たる日を巳の日と言います。
蛇(白蛇)は弁財天の遣いであるとされており、金運・財運の縁起が良い日とされています。
そのため寅の日同様、財布を購入するのに良い日とされていたり、宝くじを買うのに良い日とされています。
また弁財天が祀られている寺社に参拝に行くのにも良い日とされています。
更に己巳の日(つちのとみのひ・60日に1度)はより縁起が良いとされています。
午の日に関すること
十二支の午(うま=馬)に当たる日を午の日と言います。
稲荷神社に参拝に行くとより効果がある日とも言われています。
特に2月最初の午の日は全国の稲荷神社で「初午祭」が開催され、参拝するとご利益がより高まると言われています。
また初午の日にはいなり寿司を食べると良いとされています。
未の日に関すること
十二支の未(ひつじ)に当たる日を未の日と言います。
未の日は、特に何も無い日になっています。中には、吉祥(幸福・繁栄を意味する)の祥には羊本来の文字が含まれているから、未の日も縁起が良いという人もいますが、出典は見当たりません。
申の日に関すること
十二支の申(さる=猿)に当たる日を申の日と言います。
猿も分娩の軽い動物と言われており、戌の日についで安産祈願に良い日とされています。
また日枝神社では、猿が日枝神社のお使いでありことから、縁起の良い日とされています。
酉の日に関すること
十二支の酉(とり=鶏)に当たる日を酉の日と言います。
通常ではあまり気にしない酉の日ですが、11月の酉の日は一部の寺社で「酉の市」が行われ、熊手を買う人で賑わいます。
なお11月に3回酉の日がある年は火事が多くなる年と言われています。
戌の日に関すること
十二支の戌(いぬ=犬)に当たる日を戌の日と言います。
犬は分娩が軽い動物とされていることから、戌の日は安産祈願に良い日とされています。
特に妊娠5ヶ月目の戌の日には神社にいって安産祈願(ご祈祷)をしてもらうと良いとされています。
近くに神社があるのであれば、戌の日に安産をお祈りするのもおすすめです。
亥の日に関すること
十二支の亥の日(い=いのしし=猪)に当たる日を亥の日と言います。
なお十二支は中国が発祥ですが、中国では豚を意味しており、日本以外で十二支が伝わっている国でも豚のことを指します。
特に普段は何も無い亥の日ですが、旧暦10月の最初の亥の日は亥の子の日・亥の子の祝いとされており、「こたつ開き」「炉開き」といって暖房器具を出すと火事に合わないとされています。
現在は新暦で考えるため、11月の最初の亥の日が亥の子の日・亥の子の祝いとされています。
西日本では、亥の子餅を作って食べ万病除去・子孫繁栄を祈る習わしがあります。