往亡日は、暦中下段と呼ばれる今ではあまり見かけなくなった暦注(暦に記載される日時・方位などの吉凶、その日の運勢などのこと)の1つです。
「亡」という漢字の字面から不吉なイメージがあるものですが、実際にはどういった内容のものなのか、詳しく解説します。
吉凶としては特定のことにおいて凶となっています。
往亡日とは
読み方:おうもうにち
別称・俗称:ー
「往(ゆ)きて亡ぶ日」の意味であり、昔はこの日に軍を進めることや遠行が忌まれました。
往亡日の吉凶
往亡日は凶日ですが、特に下記のことが凶事となっています。
- 凶:拝官・移転・婚礼・旅行・建築・出発すること
- 差し支えないこと:「行く」「始める」という行為では無いもの
「往きて亡ぶ」つまり「行く」「始める」という行為が凶事となっています。
往亡日の由来
いつ頃から暦注に書かれたものかわかりませんが、言葉としては12世紀には登場しており、陰陽道で外出を忌む日だったということで10世紀前後にはあったものと思われます。
往亡日の配置と日にち
往亡日は節切り(二十四節気を参照)の特定の日に当てます。
現在の一般的な1月・2月とは異なるので勘違いしないようにしてください。
- 1月:立春から7日目(7×1)
- 2月:啓蟄から14日目(7×2)
- 3月:清明から21日目(7×3)
- 4月:立夏から8日目(8×1)
- 5月:芒種から16日目(8×2)
- 6月:小暑から24日目(8×3)
- 7月:立秋から9日目(9×1)
- 8月:白露から18日目(9×2)
- 9月:寒露から27日目(9×3)
- 10月:立冬から10日目(10×1)
- 11月:大雪から20日目(10×2)
- 12月:小寒から30日目(10×3)
参考までに2024年と2025年の節月は下記の通りです。
2024年の節月
- 1月=2月4日~3月4日
- 2月=3月5日~4月3日
- 3月=4月4日~5月4日
- 4月=5月5日~6月4日
- 5月=6月5日~7月5日
- 6月=7月6日~8月6日
- 7月=8月7日~9月6日
- 8月=9月7日~10月7日
- 9月=10月8日~11月6日
- 10月=11月7日~12月6日
- 11月=12月7日~2025年1月4日
- 12月=2025年1月5日~2月2日
2025年の節月
- 1月=2月3日~3月4日
- 2月=3月5日~4月3日
- 3月=4月4日~5月4日
- 4月=5月5日~6月4日
- 5月=6月5日~7月6日
- 6月=7月7日~8月6日
- 7月=8月7日~9月6日
- 8月=9月7日~10月7日
- 9月=10月8日~11月6日
- 10月=11月7日~12月6日
- 11月=12月7日~2026年1月4日
- 12月=2026年1月5日~2月3日
往亡日の配置の矛盾
12月の往亡日は小寒から30日目です。今の感覚だと12月は31日まであるから問題無いと思うかもしれませんが、節切りにおいて30日目というのは、存在する月と存在しない月があります。
例えば2021年最初の往亡日は2月3日になりました。この日は立春であり、節月で言えば1月になります。つまり、2021年の節月における1月には2回の往亡日があることになります。
*2021年2月3日の往亡日は1月の往亡日ではなく12月の往亡日です。
節月なのに年を超えてしまうことがあり、月に2回の往亡日が配置されることがあるということになります。
これは往亡日の日にち設定がそもそもおかしいように思われます。
2023年の往亡日カレンダー
2023年の往亡日は現在の暦(普通のカレンダーで見た時)では下記の通りです。
日にち | 節月 | 六曜 | 二十四節気 |
2023年2月10日 | 1月 | 友引 | (立春) |
2023年3月19日 | 2月 | 大安 | (啓蟄) |
2023年4月25日 | 3月 | 友引 | (穀雨) |
2023年5月13日 | 4月 | 友引 | (立夏) |
2023年6月21日 | 5月 | 友引 | 夏至 |
2023年7月30日 | 6月 | 赤口 | (大暑) |
2023年8月16日 | 7月 | 先勝 | (立秋) |
2023年9月25日 | 8月 | 赤口 | (秋分) |
2023年11月3日 | 9月 | 仏滅 | (霜降) |
2023年11月17日 | 10月 | 友引 | (立冬) |
2023年12月26日 | 11月 | 赤口 | (冬至) |
概ね1ヶ月に1回あるようになっています。
2024年の往亡日カレンダー
2024年の往亡日は現在の暦(普通のカレンダーで見た時)では下記の通りです。
日にち | 節月 | 六曜 | 二十四節気 |
2024年2月10日 | 1月 | 先勝 | (立春) |
2024年3月18日 | 2月 | 仏滅 | (啓蟄) |
2024年4月24日 | 3月 | 赤口 | (穀雨) |
2024年5月12日 | 4月 | 友引 | (立夏) |
2024年6月20日 | 5月 | 先勝 | (芒種) |
2024年7月29日 | 6月 | 大安 | (大暑) |
2024年8月15日 | 7月 | 赤口 | (立秋) |
2024年9月24日 | 8月 | 大安 | (秋分) |
2024年11月3日 | 9月 | 赤口 | (霜降) |
2024年12月26日 | 11月 | 赤口 | (冬至) |
往亡日と他の暦注下段と重なった時の優先度
例えば天赦日等の吉日と重なった場合、どちらが優先されるか?と言えば暦注下段においては、基本的に悪い方が優先されると言われています。
ただし、配置に矛盾が生じている往亡日に対して、そこまで気にする必要は無いと思いませんか?
暦注下段は良いものは信じて、悪いものは信じないくらいの気持ちでいた方が精神的によくなると思います。
以上、往亡日についてでした。
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