帰忌日は、暦中下段と呼ばれる今ではあまり見かけなくなった暦注(暦に記載される日時・方位などの吉凶、その日の運勢などのこと)の1つです。
「忌」という漢字の字面から不吉なイメージがあるものですが、実際にはどういった内容のものなのか、詳しく解説します。
吉凶としては「凶日」とされる日ですが、迷信的なものなので信じないことをおすすめします。
帰忌日とは
- 読み方:きこにち、きしにち、きこび、きこじつ、きいみび
- 別名・俗称:帰忌
帰忌とは、天棓星(てんぼうせい:りゅう座のβ,γ,ζ,ν星)の精とされています。
この帰忌が地上に降りて来て、人家の門の前で家人が帰って来るのを妨害する日が帰忌日です。
大変古い暦注で、正倉院に納められている天平勝宝8歳の具注暦にも下記のように記載されています。
帰忌日、其日 遠行(えんこう)、帰家(きけ)、移徙(わたまし)、呼女(こじょ)、娶婦(しゅふ)すべからず
市販の暦では、元服・金の貸し借りも凶としていることがあります。
帰忌日の吉凶
帰忌日は先述した通り、凶日ですが、特に下記のことで凶日となっています。
- 凶:金の貸し借り・遠出・帰宅・転居・結婚・成人儀礼
- 吉:特になし
帰宅することすら凶となるというのも面白いものです。
成人儀礼は一般的には成人式のことですが、地域によっていろいろとあります。左義長(どんど焼き)が一部の地域では成人儀礼になっていることもあります。
帰忌日の由来
帰忌日の由来についてはわかっていません。節切りで配置していること、子丑寅で決まることから、陰陽五行説が関わっているものと思われます。
帰忌日の配置と日にち
帰忌日は節切り(二十四節気を参照)と特定の十二支(干支)で決まります。
現在の一般的な1月・2月とは異なるので勘違いしないようにしてください。
- 1・4・7・10月=丑の日
- 2・5・8・11月=寅の日
- 3・6・9・12月=子の日
参考までに2023年と2024年の節月は下記の通りです。
2023年の節月
- 1月=2月4日~3月5日
- 2月=3月6日~4月4日
- 3月=4月5日~5月5日
- 4月=5月6日~6月5日
- 5月=6月6日~7月6日
- 6月=7月7日~8月7日
- 7月=8月8日~9月7日
- 8月=9月8日~10月7日
- 9月=10月8日~11月7日
- 10月=11月8日~12月6日
- 11月=12月7日~2024年1月5日
- 12月=2024年1月6日~2月3日
2024年の節月
- 1月=2月4日~3月4日
- 2月=3月5日~4月3日
- 3月=4月4日~5月4日
- 4月=5月5日~6月4日
- 5月=6月5日~7月5日
- 6月=7月6日~8月6日
- 7月=8月7日~9月6日
- 8月=9月7日~10月7日
- 9月=10月8日~11月6日
- 10月=11月7日~12月6日
- 11月=12月7日~2025年1月4日
- 12月=2024年1月5日~2月2日
2023年の帰忌日
2023年の帰忌日は現在の暦(普通のカレンダーで見た時)では下記の通りです。
月に2~5日はあることになります。
日にち | 節月 | 六曜 | 十二直 | 干支の日 |
2023年1月6日 | 12月 | 友引 | 閉 | 子の日 |
2023年1月18日 | 12月 | 友引 | 閉 | 子の日 |
2023年1月30日 | 12月 | 先負 | 閉 | 子の日 |
2023年2月12日 | 1月 | 仏滅 | 閉 | 丑の日 |
2023年2月24日 | 1月 | 赤口 | 閉 | 丑の日 |
2023年3月9日 | 2月 | 先勝 | 閉 | 寅の日 |
2023年3月21日 | 2月 | 先勝 | 閉 | 寅の日 |
2023年4月2日 | 2月 | 先勝 | 閉 | 寅の日 |
2023年4月12日 | 3月 | 大安 | 成 | 子の日 |
2023年4月24日 | 3月 | 先勝 | 成 | 子の日 |
2023年5月7日 | 4月 | 友引 | 成 | 丑の日 |
2023年5月19日 | 4月 | 友引 | 成 | 丑の日 |
2023年5月31日 | 4月 | 先負 | 成 | 丑の日 |
2023年6月13日 | 5月 | 仏滅 | 成 | 寅の日 |
2023年6月25日 | 5月 | 赤口 | 成 | 寅の日 |
2023年7月17日 | 6月 | 仏滅 | 執 | 子の日 |
2023年7月29日 | 6月 | 大安 | 執 | 子の日 |
2023年8月11日 | 7月 | 赤口 | 執 | 丑の日 |
2023年8月23日 | 7月 | 友引 | 執 | 丑の日 |
2023年9月4日 | 7月 | 友引 | 執 | 丑の日 |
2023年9月17日 | 8月 | 仏滅 | 執 | 寅の日 |
2023年9月29日 | 8月 | 仏滅 | 執 | 寅の日 |
2023年10月9日 | 9月 | 友引 | 満 | 子の日 |
2023年10月21日 | 9月 | 先負 | 満 | 子の日 |
2023年11月2日 | 9月 | 先負 | 満 | 子の日 |
2023年11月15日 | 10月 | 赤口 | 満 | 丑の日 |
2023年11月27日 | 10月 | 赤口 | 満 | 丑の日 |
2023年12月10日 | 11月 | 先勝 | 満 | 寅の日 |
2023年12月22日 | 11月 | 友引 | 満 | 寅の日 |
あまり気にすることは無いと思いますが、気分的に仏滅や赤口と重なった日には、気をつけた方が良いと思います。
なお十二直も入れていますが、十二直も特定の十二支の日に配置されるもののため、同じ節月で重なることが多くなっています。
どうやって発生したかわからない「帰忌日」と発生した歴史がわかる十二直が同じ日に重なるというもの面白いもので、占いなんて、良いものを示すものもあれば悪いものを示すこともあるので、それほど信じなくても良いと思えてきませんか?
2024年の帰忌日
2024年の帰忌日は現在の暦(普通のカレンダーで見た時)では下記の通りです。
日にち | 節月 | 六曜 | 十二直 | 干支の日 |
2024年1月3日 | 11月 | 友引 | 満 | 寅の日 |
2024年1月13日 | 12月 | 友引 | 閉 | 子の日 |
2024年1月25日 | 12月 | 友引 | 閉 | 子の日 |
2024年2月7日 | 1月 | 先負 | 閉 | 丑の日 |
2024年2月19日 | 1月 | 仏滅 | 閉 | 丑の日 |
2024年3月2日 | 1月 | 仏滅 | 閉 | 丑の日 |
2024年3月15日 | 2月 | 先勝 | 閉 | 寅の日 |
2024年3月27日 | 2月 | 先勝 | 閉 | 寅の日 |
2024年4月6日 | 3月 | 大安 | 成 | 子の日 |
2024年4月18日 | 3月 | 赤口 | 成 | 子の日 |
2024年4月30日 | 3月 | 赤口 | 成 | 子の日 |
2024年5月13日 | 4月 | 先負 | 成 | 丑の日 |
2024年5月25日 | 4月 | 先負 | 成 | 丑の日 |
2024年6月7日 | 5月 | 赤口 | 成 | 寅の日 |
2024年6月19日 | 5月 | 赤口 | 成 | 寅の日 |
2024年7月1日 | 5月 | 赤口 | 成 | 寅の日 |
2024年7月11日 | 6月 | 大安 | 執 | 子の日 |
2024年7月23日 | 6月 | 大安 | 執 | 子の日 |
2024年8月4日 | 6月 | 先勝 | 執 | 子の日 |
2024年8月17日 | 7月 | 友引 | 執 | 丑の日 |
2024年8月29日 | 7月 | 友引 | 執 | 丑の日 |
2024年9月11日 | 8月 | 仏滅 | 執 | 寅の日 |
2024年9月23日 | 8月 | 仏滅 | 執 | 寅の日 |
2024年10月5日 | 8月 | 大安 | 執 | 寅の日 |
2024年10月15日 | 9月 | 先負 | 満 | 子の日 |
2024年10月27日 | 9月 | 先負 | 満 | 子の日 |
2024年11月9日 | 10月 | 赤口 | 満 | 丑の日 |
2024年11月21日 | 10月 | 赤口 | 満 | 丑の日 |
2024年12月3日 | 10月 | 先勝 | 満 | 丑の日 |
2024年12月16日 | 11月 | 友引 | 満 | 寅の日 |
2024年12月28日 | 11月 | 友引 | 満 | 寅の日 |
帰忌日と他の暦注下段との重なりの優先度
帰忌日と他の暦注下段で良いとされる天赦日や天恩日等が重なった時、どちらが優先されるのか気になるところだと思います。
基本的に暦注下段は悪い方が優先されてしまいますが、帰忌日に影響しないものであれば、気にすることもありません。
帰忌日は家に入るの妨害される日ということで「引越し・転居」に向いてないとされています。そのため気にされる方もいるかと思いますが、そもそも暦注や占いとすべて信じていると引越しなんて出来ないので、気にしないのが1番です。
そもそも帰忌日を知っている人がほとんどいないので「仏滅に引っ越してきた」のように近隣で嫌味を言う人もいません。
以上、帰忌日についてでした。
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