凶会日は、暦中下段と呼ばれる今ではあまり見かけなくなった暦注(暦に記載される日時・方位などの吉凶、その日の運勢などのこと)の1つです。
「凶」という漢字の字面から不吉なイメージがあるものですが、実際にはどういった内容のものなのか、詳しく解説します。
吉凶としては凶日になりますが、過去の旧暦によって選日が異なっておりいい加減と言えるので気にしなくても良いと思います。
凶会日とは
- 読み方:くえにち・くえび
- 別称・俗称:くゑ日・くしえ・くしゑ
陰陽二気の調和がうまく行かず、万事に忌むべき日で、この日に吉事を行うことは凶とされています。
枕草子には下記のように記されています。
凶会日は暦に沙汰し、しるすといへど、血忌日・天火・地火などやうに世人さして忌憚られば、ことに人にしられぬものというなるべし
つまり凶会日は、他の暦注に比べてうっかりと忘れてしまうほどのものだったということになっています。
凶会日の吉凶
凶会日の吉凶は下記の通りです。
- 凶:すべて・特に吉事(めでたいこと)は凶
- 差し支えの無いもの:特になし
凶会日の由来
凶会日の由来についてはわかっていませんが、10世紀には既にいろいろな書物に登場していることから、それ以前からあったものとなります。
「陰と陽の調和がうまく行かず、万事に忌む日」ということから平安時代に陰陽道が流行った際に作られたもののように思われます。
凶会日の配置と日にち
具注暦には24種の名称で記載されています。宣明暦には1年に82回記載され、貞享暦で72回に整理されました。
凶会日の撰日には諸説ありますが、宣明暦時代は節切り(二十四節気)で、貞享暦以降は月切り(旧暦)にになりました。
月毎に特定の干支を定めるようになっています。()内の干支は貞享暦で廃止になったものです。
- 1月:辛卯・(庚戌)・甲寅
- 2月:己卯・乙卯・辛酉
- 3月:甲子・乙丑・丙寅・丁卯・戊辰・壬申・戊申・庚辰・甲申・甲辰・丙申・甲辰・庚申・(癸亥)
- 4月:戊辰・(己巳)・辛未・癸未・乙未・己亥・丙午・丁未・(丁巳)・戊午・己未・癸亥
- 5月:丙午・(壬子)・戊午
- 6月:己巳・丙午・丁未・(癸丑)・丁巳・(戊午)・己未
- 7月:乙酉・甲辰・庚申
- 8月:己酉・乙卯・辛酉
- 9月:(丙寅)・甲戌・(戊寅)・(庚寅)・辛卯・壬辰・癸巳・甲午・乙未・丙申・丁酉・戊戌・(壬寅)・庚戌・甲寅
- 10月:乙丑・己巳・丁丑・戊子・己丑・戊戌・己亥・辛丑・壬子・癸丑・丁巳・癸亥
- 11月:戊子・丙午・壬子
- 12月:戊子・丁未・壬子・(癸丑)・癸亥
2021年の凶会日
当サイトでは貞経暦以降の月切り(旧暦)で表示しています。
日にち | 旧暦 | 六曜 | 日干支 |
2021年1月4日 | 11月21日 | 先勝 | 壬子 |
2021年1月15日 | 12月3日 | 友引 | 癸亥 |
2021年2月9日 | 12月28日 | 先負 | 戊子 |
2021年2月12日 | 1月1日 | 先勝 | 辛卯 |
2021年3月7日 | 1月24日 | 赤口 | 甲寅 |
2021年3月14日 | 2月2日 | 先負 | 辛酉 |
2021年4月1日 | 2月20日 | 先負 | 己卯 |
2021年4月18日 | 3月7日 | 先負 | 丙申 |
2021年4月26日 | 3月15日 | 大安 | 甲辰 |
2021年4月30日 | 3月19日 | 先負 | 戊申 |
2021年5月15日 | 4月4日 | 先勝 | 癸亥 |
2021年5月20日 | 4月9日 | 赤口 | 戊辰 |
2021年5月23日 | 4月12日 | 先負 | 辛未 |
2021年6月4日 | 4月24日 | 先負 | 癸未 |
2021年6月27日 | 5月18日 | 仏滅 | 丙午 |
2021年7月9日 | 5月30日 | 仏滅 | 戊午 |
2021年7月10日 | 6月1日 | 赤口 | 己未 |
2021年7月20日 | 6月11日 | 仏滅 | 己巳 |
2021年8月24日 | 7月17日 | 大安 | 甲辰 |
2021年9月10日 | 8月4日 | 大安 | 辛酉 |
2021年10月10日 | 9月5日 | 先勝 | 辛卯 |
2021年10月11日 | 9月6日 | 友引 | 壬辰 |
2021年10月12日 | 9月7日 | 先負 | 癸巳 |
2021年10月13日 | 9月8日 | 仏滅 | 甲午 |
2021年10月14日 | 9月9日 | 大安 | 乙未 |
2021年10月15日 | 9月10日 | 赤口 | 丙申 |
2021年10月16日 | 9月11日 | 先勝 | 丁酉 |
2021年10月17日 | 9月12日 | 友引 | 戊戌 |
2021年10月29日 | 9月24日 | 友引 | 庚戌 |
2021年11月2日 | 9月28日 | 赤口 | 甲寅 |
2021年11月5日 | 10月1日 | 仏滅 | 丁巳 |
2021年11月11日 | 10月7日 | 仏滅 | 癸亥 |
2021年11月13日 | 10月9日 | 赤口 | 乙丑 |
2021年11月17日 | 10月13日 | 仏滅 | 己巳 |
2021年11月25日 | 10月21日 | 赤口 | 丁丑 |
2021年12月6日 | 11月3日 | 先勝 | 戊子 |
2021年12月24日 | 11月21日 | 先勝 | 丙午 |
2021年12月30日 | 11月27日 | 先勝 | 壬子 |
年によって日数は変化します。
凶会日と他の暦注下段が重なった時の優先度
例えば天赦日等の吉日と重なった場合、どちらが優先されるか?と言えば暦注下段においては、基本的に悪い方が優先されると言われています。
ただ凶会日においては枕草子で、ついつい忘れてしまい勝ちなものと言われるくらい、適当なものだったということで気にしなくても良いと思います。
暦注で1日の行動を考えていた時代ですら、ついつい忘れてしまうものですから。
以上、凶会日についてでした。
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