三隣亡は、選日(撰日)と呼ばれる暦注(暦に記載される日時・方位などの吉凶、その日の運勢などのこと)の1つです。
建築関係においての凶日とされていることが多く、選日の中ではもっとも有名です。
実際にはどういう凶日なのか、他の暦注(六曜や選日)と重なった時にどうう考えれば良いか説明します。
三隣亡とは
- 読み方:三隣亡
- 別称・俗称:ー
選日・暦注下段と言われる暦注の中でもっともどのような日かの規定がはっきりしない割に一番有名になっている選日が三隣亡です。
三隣亡の吉凶
三隣亡という字面から、この日に建築事を行うと三軒隣まで亡ぼすとされたため、建築関係においては大凶日とされていました。現在でも、棟上げなど建築に関することの凶日とされ、建築関係の行為は避けられることが少なくありません。
「高い所へ登るとけがをする」と書いている暦もあります。
三隣亡の由来
三隣亡にはいろいろな説があり、由来もはっきりしません。
宣明暦時代(西暦823年から1685年)に伊勢暦の一部などにあった暦注である「保呂風日」に代表される七個の悪日の1つと言われていることもありますが、その時代に「三隣亡」という言葉は出てきません。
三隣亡という言葉が出来た書物だと1800年代前半頃からとなっています。
江戸時代の古い雑書には「三輪宝」というものがあり、意味は「屋立てよし」「蔵立てよし」、つまり建築関係に良いとされる暦注となっていました。
これがいつの頃からか、「屋立てあし」「蔵立てあし」というように「よ」と「あ」を書き間違えられるように悪い意味になっていき、悪い意味で三輪宝では都合が悪いということで、同音の「三隣亡」に書き改められたという説もあります。
由来が全くわからない暦注なのに、選日・暦注下段で一番有名になって今でも意識する人がいるというのは非常に面白いことだと思います。
三隣亡の配当と日にち
三隣亡の配当は、節月で下記の日に割り当てられています。
現在の一般的な1月・2月とは異なるので勘違いしないようにしてください。
- 1月・4月・7月・10月:亥の日
- 2月・5月・8月・11月:寅の日
- 3月・6月・9月・12月:午の日
参考までに2024年と2025年の節月は下記の通りです。
2024年の節月
- 1月=2月4日~3月4日
- 2月=3月5日~4月3日
- 3月=4月4日~5月4日
- 4月=5月5日~6月4日
- 5月=6月5日~7月5日
- 6月=7月6日~8月6日
- 7月=8月7日~9月6日
- 8月=9月7日~10月7日
- 9月=10月8日~11月6日
- 10月=11月7日~12月6日
- 11月=12月7日~2025年1月4日
- 12月=2025年1月5日~2月2日
2025年の節月
- 1月=2月3日~3月4日
- 2月=3月5日~4月3日
- 3月=4月4日~5月4日
- 4月=5月5日~6月4日
- 5月=6月5日~7月6日
- 6月=7月7日~8月6日
- 7月=8月7日~9月6日
- 8月=9月7日~10月7日
- 9月=10月8日~11月6日
- 10月=11月7日~12月6日
- 11月=12月7日~2026年1月4日
- 12月=2026年1月5日~2月3日
2023年の三隣亡カレンダー
2023年の三隣亡は下記の通りです。
日にち | 曜日 | 節月 | 六曜 | 日干支(節月) |
2023年1月12日 | 木曜日 | 12月 | 友引 | 庚午 |
2023年1月24日 | 火曜日 | 12月 | 先負 | 壬午 |
2023年2月10日 | 金曜日 | 1月 | 友引 | 己亥 |
2023年2月22日 | 水曜日 | 1月 | 仏滅 | 辛亥 |
2023年3月9日 | 木曜日 | 2月 | 先勝 | 丙寅 |
2023年3月21日 | 火曜日 | 2月 | 先勝 | 戊寅 |
2023年4月2日 | 日曜日 | 2月 | 先勝 | 庚寅 |
2023年4月6日 | 木曜日 | 3月 | 大安 | 甲午 |
2023年4月18日 | 火曜日 | 3月 | 大安 | 丙午 |
2023年4月30日 | 日曜日 | 3月 | 先勝 | 戊午 |
2023年5月17日 | 水曜日 | 4月 | 赤口 | 乙亥 |
2023年5月29日 | 月曜日 | 4月 | 先勝 | 丁亥 |
2023年6月13日 | 火曜日 | 5月 | 仏滅 | 壬寅 |
2023年6月25日 | 日曜日 | 5月 | 赤口 | 甲寅 |
2023年7月11日 | 火曜日 | 6月 | 仏滅 | 庚午 |
2023年7月23日 | 日曜日 | 6月 | 大安 | 壬午 |
2023年8月4日 | 金曜日 | 6月 | 大安 | 甲午 |
2023年8月9日 | 水曜日 | 7月 | 仏滅 | 己亥 |
2023年8月21日 | 月曜日 | 7月 | 赤口 | 辛亥 |
2023年9月2日 | 土曜日 | 7月 | 赤口 | 癸亥 |
2023年9月17日 | 日曜日 | 8月 | 仏滅 | 戊寅 |
2023年9月29日 | 金曜日 | 8月 | 仏滅 | 庚寅 |
2023年10月15日 | 日曜日 | 9月 | 先負 | 丙午 |
2023年10月27日 | 金曜日 | 9月 | 先負 | 戊午 |
2023年11月13日 | 月曜日 | 10月 | 仏滅 | 乙亥 |
2023年11月25日 | 土曜日 | 10月 | 仏滅 | 丁亥 |
2023年12月10日 | 日曜日 | 11月 | 先勝 | 壬寅 |
2023年12月22日 | 金曜日 | 11月 | 友引 | 甲寅 |
28日間あります。
この選日方法だと他の選日・暦注下段と重なることが多くあります。
- 2月節の三隣亡の日は一粒万倍日・帰忌日と重なる
- 3月節の三隣亡の日は天火日と重なる
- 5月節の三隣亡の日は帰忌日と重なる
- 6月節の三隣亡の日は受死日と一粒万倍日と重なる
- 9月節の三隣亡の日は一粒万倍日と重なる
他の凶日や吉日と重なることから考えてもいろいろな考え方があったことがわかりますね。
2024年の三隣亡カレンダー
2024年の三隣亡は下記の通りです。
日にち | 曜日 | 節月 | 六曜 | 日干支(節月) |
2024年1月3日 | 水曜日 | 11月 | 友引 | 丙寅 |
2024年1月7日 | 日曜日 | 12月 | 赤口 | 庚午 |
2024年1月19日 | 金曜日 | 12月 | 友引 | 壬午 |
2024年1月31日 | 水曜日 | 12月 | 友引 | 甲午 |
2024年2月5日 | 月曜日 | 1月 | 先勝 | 己亥 |
2024年2月17日 | 土曜日 | 1月 | 友引 | 辛亥 |
2024年2月29日 | 木曜日 | 1月 | 友引 | 癸亥 |
2024年3月15日 | 金曜日 | 2月 | 先勝 | 戊寅 |
2024年3月27日 | 水曜日 | 2月 | 先勝 | 庚寅 |
2024年4月12日 | 金曜日 | 3月 | 赤口 | 丙午 |
2024年4月24日 | 水曜日 | 3月 | 赤口 | 戊午 |
2024年5月11日 | 土曜日 | 4月 | 先勝 | 乙亥 |
2024年5月23日 | 木曜日 | 4月 | 先勝 | 丁亥 |
2024年6月4日 | 火曜日 | 4月 | 先勝 | 己亥 |
2024年6月7日 | 金曜日 | 5月 | 赤口 | 壬寅 |
2024年6月19日 | 水曜日 | 5月 | 赤口 | 甲寅 |
2024年7月1日 | 月曜日 | 5月 | 赤口 | 丙寅 |
2024年7月17日 | 水曜日 | 6月 | 大安 | 壬午 |
2024年7月29日 | 月曜日 | 6月 | 大安 | 甲午 |
2024年8月15日 | 木曜日 | 7月 | 赤口 | 辛亥 |
2024年8月27日 | 火曜日 | 7月 | 赤口 | 癸亥 |
2024年9月11日 | 水曜日 | 8月 | 仏滅 | 戊寅 |
2024年9月23日 | 月曜日 | 8月 | 仏滅 | 庚寅 |
2024年10月5日 | 土曜日 | 8月 | 大安 | 壬寅 |
2024年10月9日 | 水曜日 | 9月 | 先負 | 丙午 |
2024年10月21日 | 月曜日 | 9月 | 先負 | 戊午 |
2024年11月2日 | 土曜日 | 9月 | 大安 | 庚午 |
2024年11月7日 | 木曜日 | 10月 | 仏滅 | 乙亥 |
2024年11月19日 | 火曜日 | 10月 | 仏滅 | 丁亥 |
2024年12月1日 | 日曜日 | 10月 | 大安 | 己亥 |
2024年12月16日 | 月曜日 | 11月 | 友引 | 甲寅 |
2024年12月28日 | 土曜日 | 11月 | 友引 | 丙寅 |
32日間あります。
三隣亡が他の暦注と重なった時の優先度
三隣亡が他の暦注と重なった場合、例えば吉日となる一粒万倍日や大安等の吉日と重なった場合や、凶日となる受死日や仏滅と重なった場合、どちらが優先されるのか?
それは特に決まっていませんし、決めるのはあなた自身です。
ただある程度の目安を紹介しておきます。
六曜と三隣亡が重なった場合
大安や仏滅、友引等の六曜と重なった場合、仏滅や赤口ならともに凶日となるので、控えた方が良いかもしれませんね。
大安や友引のような吉日なら三隣亡と重なった場合、どちらを優先したら良いのか?目安としては2つです。
- 自分だけのこと:好きなように捉えて問題なし
- 家族や親しい人にも影響すること:六曜を優先した方が良い
自分だけのことなら、何を信じるかだけの話なので無視したければ無視して全く構いません。
家族や親しい人にも影響する場合、例えば結婚式や葬式であれば、六曜を優先した方が無難です。
無難というのは、十方暮という選日を気にしている人はかなり少ないですが、六曜を気にしている人が多いからです。
例えば三隣亡だから大吉だけど結婚式をズラして、先勝の午後に結婚式を行ったら親戚や親御さんから「先勝の午後に結婚式をするなんて常識が無い!」なんて嫌味や悪口、陰口を言われる可能性が高くなります。しかし三隣亡を意識している人は少ないですから、大安や友引にした方が嫌味や悪口。陰口を言われることは圧倒的に少なくなります。
上記の理由により、どちらかを優先するのなら実害の少ない六曜を優先する方が良いでしょう。
一粒万倍日や受死日等の選日と重なった場合
六曜に比べれば知名度の少ない選日や暦注下段と重なった場合、どちらを優先したら良いのかということであれば、信じる方で構いません。
ただ三隣亡は建設に関しての凶日という考え方であるのなら、建築に関係しないことなら、気にしなくて構わないのではないでしょうか?
三隣亡に関すること
三隣亡に関することを記していきます。
地域によって異なる三隣亡の吉凶
今ほど簡単に情報が伝わらなかった昔、地域による暦注の解釈は異なっていました。また地域によって暦が出されていたこともあり、地域によって暦注の意味も異なることがありました。
新潟県や群馬県の一部では三隣亡の日に土産物を貰った者は没落し、贈った方は成金になるという言い伝えがあり、三隣亡の日に贈り物を贈ることは避けるのが風習となっています。
また庄内地方には「寅年・午年・亥年は一年中三隣亡」というものがあります。日としての三隣亡がなぜか年として伝わってしまったと言われています。
三隣亡に関するリンク
他の選日
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