暦をみると「十二直」というものがありますが、どういった意味なんだろう?と思う人も多いのではないでしょうか?
十二直とはどういうものなのか、どういう由来や意味があるのか詳しく解説します。
十二直とは
十二直とは、どういうもの?どういう意味?
十二直とは、中段とも呼ばれる今ではほとんど記されなくなったカレンダー・暦に記される運勢のことです。昭和初期までは「大安」「友引」などの六曜よりも重視する人が多かったものです。
発祥は古代中国で、北斗七星の動きに十二支(干支)を割り当て吉凶を占います。
十二直ということから「建・除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉」の12の運勢で成り立っています。六曜が6つから成り立っていることを考えると倍の数に当たります。
江戸時代には仮名暦が広く用いられましたが、日の干支の下(中段)に仮名書きで書かれ、日々の吉凶を見る上で最も重視されました。
暦注と言えば、この十二直をさすくらいでした。現在でも、これを利用している人は多いようです。
ただ現在は六曜や九星を重視する人が多くなったため、あまり使われなくなりました。
十二直の読み方は?別称・別名は?
十二直の読み方は「じゅうにちょく」です。「中段」「中段十二直」と呼ばれることもあります。
また「十二客」「十二建」「建除」と呼ばれることもあります。
- 読み方:じゅうにちょく
- 他の言い方:中段・中段十二直
- 別称・別名:十二客(じゅうにきゃく)・十二建(じゅうにけん)・建除(けんじょ)
なお「直」には「あたる」という意味があり、「客」には他より来て宿るという意味があります。
十二直の由来
十二直の由来は?いつ頃から使われていたの?
十二直の由来は古代中国において北斗七星信仰と十二支が組み合わさって作られたものとされていますが、いつから始まったものなのか明確にはなっていません。
中国から日本に伝わった時期も不明ですが、正倉院にある日本最古の暦「具注暦」(西暦746年のもの)には十二直が記されていることから8世紀初頭には伝わっていたものとされています。
六曜(大安や友引)が日本に伝わったのが14世紀(1300年代)だったことを考えるとかなり古くから使われていた暦注(運勢)となります。
十二直はいつからあまり見られなくなったの?
十二直があまり見られなくなったのは、戦後(第二次世界大戦の後)頃からと言われています。
戦前までは暦・カレンダーに運勢(暦注)を掲載することが法的に禁止されていた時代があり、六曜や九星を除く運勢は廃れていきました。反面、歴史の比較的浅い六曜が時代にマッチしてカレンダーにも記載されるようになり、十二直はほとんど見られなくなってきたと言われています。
十二直の仕組みや配当・配置は?
十二直の仕組みと構成は?
十二直は「建・除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉」の12の語句で構成されています。
いつのころからはわかりませんが、十二支は方位に配当されるようになりましたが、真北を十二支の「子」として、以後東廻りに配当されます。真東は卯、真南は午になります。
この配当と北斗七星の回転が結びついたのが十二直です。
上記の図は北斗七星のそれぞれの星の中国語での言い方です。
中国では、古代から北斗七星に着目してしました。1年中ほとんど同じ位置にある北極星の近くにあり北の夜空を転回する北斗七星の姿は古代人にさまざまなことを想像させたに違い有りません。
そして北斗七星は神格化され、1つ1つに万物の運命を支配する力あると考えられるようになりました。まさに北斗の拳の世界です。
中でも北斗七星の柄の部分の3つの星(玉衡・開陽・揺光)は斗柄と言い、重要視されてきました。
斗柄は一定の方向を指すことが古代中国では既に知られていました。
斗柄は北極星を中心に1日1回展します。そこで、これを12等分して時刻・日・季節・を判別するように用いられるようになりました。
これが発展して十二直という日々の吉凶を占いことが行われ始めました。
十二直の配当・配置・並び順は?
十二直の起点は冬至の頃、斗柄が真北(子の方角)に向かうので、この日を建子の月・起点としています。「建」は「おぎす(尾指す)」の意味で斗柄が十二支のいずれかの方角を指す意味があります。
十二直は始めの「建(たつ)」を11月節(二十四節気の大雪)の最初の子の日と決め、撰日方は節月によって配当・並べるようにしました。これを月建と言います。月建は必然的に冬至を含む月になります。
十二直は、立春、啓蟄、清明などの節気(二十四節気の節気と中期の節気)にあたる日は、前日の十二直を繰り返すことになっています。
例えば大暑の最後が「平」になった場合、節気である立秋の最初は同じく「平」になります。
- 雨水の最後の十二直が啓蟄の最初の十二直に
- 春分の最後の十二直が清明の最初の十二直に
- 穀雨の最後の十二直が立夏の最初の十二直に
というように配置されます。
これで十二直が巡回して1年経過すると1周りズレて元の十二支との組み合わせに戻るようになります。12回ズレるので元に戻るということです。
十二支と十二直は同じ周りならないようにされている
日に配当される十二直と十二支、同じ数なので本来は何日経過しても同じ組み合わせで進んでしまうため、これでは十二直の意味そのものが無く、十二支に吉凶を与えれば良いだけになってしまいます。
そこで、下記のように十二支と1ヶ月に1日ずつずらして1年後にまた同じ位置に合うようにしました。
- 11月節(大雪):大雪後の最初の子の日を建にする(起点)
- 12月節(小寒):小寒後の最初の丑の日を建とする
- 正月節(立春):立春後の最初の寅の日を建とする
- 2月節(啓蟄):啓蟄後の最初の卯の日を建とする
- 3月節(清明):清明後の最初の辰の日を建とする
- 4月節(立夏):立夏後の最初の巳の日を建とする
- 5月節(芒種):芒種後の最初の午の日を建とする
- 6月節(小暑):小暑後の最初の未の日を建とする
- 7月節(立秋):立秋後の最初の申の日を建とする
- 8月節(白露):白露後の最初の酉の日を建とする
- 9月節(寒露):寒露後の最初の戌の日を建とする
- 10月節(立冬):立冬後の最初の亥の日を建とする
十二直のそれぞれの意味と運勢
十二直のぞれぞれの運勢・意味は下記のようになっています。
十二直-建
- 読み方:たつ
- 意味:万物を建て生じる日
- 吉凶:よろず大吉の日、但し動土・蔵開きは凶
十二直-除
- 読み方:のぞく
- 意味:障害を取り除く日
- 吉凶:治療開始・祭祀などは吉、井戸掘り・結婚・動土は凶
十二直-満
- 読み方:みつ
- 意味:全てが満たされる日
- 吉凶:新規事・移転・結婚などは吉、動土・服薬は凶
十二直-平
- 読み方:たいら
- 意味:物事が平らかになる日
- 吉凶:旅行・結婚・道路修理などは吉、穴掘り・種まきは凶
十二直-定
- 読み方:さだん
- 意味:善悪が定まる日
- 吉凶:開店・結婚・移転・種まきは吉、旅行・訴訟は凶
十二直-執
- 読み方:とる
- 意味:執り行う日
- 吉凶:祭祀・祝い事・造作・種まきは吉、金銭の出入りは凶
十二直-破
- 読み方:やぶる
- 意味:物事を突破する日
- 吉凶:訴訟・出陣・漁猟・服薬は吉、祝い事・契約事は凶
十二直-危
- 読み方:あやぶ
- 意味:物事を危惧する日
- 吉凶:万事控えめに
十二直-成
- 読み方:なる
- 意味:物事が成就する日
- 吉凶:新規事・建築・開店は吉、訴訟・談判は凶
十二直-納
- 読み方:おさん
- 意味:物事を納め入れる日
- 吉凶:収穫・商品購入は吉、結婚・見合いは凶(吉という場合もあり)
十二直-開
- 読み方:ひらく
- 意味:開き通じる日
- 吉凶:建築・移転・結婚等は吉、葬式は凶
十二直-閉
- 読み方:とづ
- 意味:閉じ込める日
- 吉凶:金銭出納・建墓は吉、棟上げ・結婚・開店は凶
十二直に関すること
十二直に関することを書いていきます。
時・月・年の十二直
十二直は日に配当されるものですが、よくわからない占い師・風水士と名乗る人が「時の十二直」「月の十二直」「年の十二直」なるものを説明していることがあります。
12という数字から十二支(干支)に紐づけて配置していたりします。
しかし何の根拠も歴史も無いものです。
気にしてしまう人がいるかもしれないので書きましたが、占い関係で存在しない新しい言葉を使う人もいるので注意してください。
凄い理論でよく当たるのなら話題になりますが、全く話題になっていません。