睦月は1月の和風月名ですが、どうして睦月というのか、どういう意味があるのかまで知っている方は少ないですよね。
睦月について詳しく説明した上で、1月の他の言い方・異称についても説明します。
睦月とは
- 睦月の読み方:むつき
- 睦月の表す月:旧暦1月
- 睦月の季節・季語:春
- 他の言い方:むつびづき・むつびのつき・むつましづき
睦月は正確には旧暦の1月を指す言葉・和風月明です。ただし現在では新暦の1月の別名としても用いられるようになっています。
睦月は季節で言えば春であり、春の季語にもなっています。1月は冬というイメージがありますが、旧暦であれば現在の2月に相当するため、二十四節気で考えれば矛盾の無い季語となっています。
睦月の語源と意味
1月を「むつき(睦月)」と呼ぶようになった由来には諸説あります。
一番有力とされているのは、室町時代に成立した「節用集」や鎌倉時代末期に成立した「二中暦」には、正月は身分の上下なく、また老いも若きもお互いに往来して拝賀し、親戚一同集まって娯楽遊楽するという睦び月(むつびつき)の意味があるとされました。
この「むつびつき」という言葉が訛って「むつき」になったというものです。
他にも「元つ月」(もとつつき)が略されて「むつき」になった説、草木の「萌月」(もゆゆき)が約されて「むつき」になった説があります。
1月とはいつか?
睦月は本来、旧暦の1月でしたが、そもそも1月というのはいつのことなのか?と言えば明治初期までは2つの時期がありました。
- 旧暦における1月
- 二十四節気における1月
旧暦における1月
日本が明治初期まで使っていた暦は太陰太陽暦というものです。起点となる1月1日は、1月下旬から2月中旬にかけての時期になることが多くなっていました。
ここ数年で言えば早い年で1月22日、遅い年で2月19日となっており1ヶ月以上のズレがあることもあります。
二十四節気における1月
概ね今の暦(新暦)で言えば2月4日くらいから3月4日くらいまでです。
厄払いは節分までに受けるものだと聞いたことがある方もいると思いますが、これは節分は昔の人にしてみれば、今の大晦日のようなものであり、翌日の立春はお正月みたいなものでした。
だから大晦日までに厄払いをして新年を迎えるという意味で厄払いは節分までに行うという習慣が生まれた訳です。
昔の1月は2月のこと
旧暦における1月は2月くらい、二十四節気(ある意味旧暦に近いもの)も今の2月が1月となっており、中国の文化の影響を受けたエリアでは本来1月は今の2月頃のことでした。
中国文化の影響を受けた国としては、日本・韓国などがあります。
1月を意味する言葉。1月の別称・異称
1月を意味する言葉、1月の別称・異称はいろいろとあります。
1番有名なものとしては「正月」です。旧暦では1月のことを「正月」と書いてあることもありました。
今では正月と言えば三賀日もしくは松の内までのことを意味することが多いですが、1月のことを正月と言っても間違いではありません。
他には下記のような言い方があります。
- 建寅月(けんいんげつ):十二直に関係してつけられた名称
- 孟春(もうしゅん):春の初めという意味で旧暦の1月を指す言葉
- 霞初月(かすみそめづき):おそらく七十二候「霞始靆」に関連してつけられたもの
- 子日月(ねのひづき):十二支の最初が「子」であるためにつけられたもの
他にも下記のような異称があります。
暮新月(くれしづき)・早緑月(さみどりづき)・三微月(さんびづき)・太郎月(たろうづき)・初空月(はつそらづき)・初春月(はつはるづき)・初見月(はつみづき)・王春(おうしゅん)・開歳(かいさい)・開春(かいしゅん)・解凍(かいとう)・嘉月(かげつ)・華歳(かさい)・月正(げっせい)・元月(げんげつ)・献歳(けんさい)・献春(けんしゅん)・歳始(さいし)・歳首(さいしゅ)・主月歳(しゅげつさい)・首歳(しゅさい)・上春(じょうしゅん)・初月(しょげつ)・初歳(しょさい)・初春(しょしゅん)・初陽(しょよう)・始和(しわ)・新春(しんしゅん)・青陽(せいよう)・泰月(たいげつ)・大簇(たいそう)・端月(たんげつ)・年端月(としはづき)・肇歳(ちょうさい)・年初(ねんしょ)・発歳(はつさい)・方歳(ほうさい)・芳歳(ほうさい)・甫年(ほねん)・昵月(むつき)・陬月(むつき)・孟陬(もうすう)・孟陽(もうよう)・履端(りたん)
もう多すぎて訳がわかりませんが、言葉の種類・語彙というものはその国が何に重点をおいていたかによって表現数が変わってきます。
日本は中国の影響を受けながら、月というものに重点を置いていたことが伺えます。
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