蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)は、七十二候の第七候の季節(略本暦による呼び名)です。
啓蟄の初候となり、「冬籠りの虫が出て来る」という意味になります。
蟄虫啓戸について詳しく説明します。
蟄虫啓戸の読み方と詳しい意味
蟄虫啓戸の読み方は下記の通りです。
- すごもりむしとをひらく
- すごもりのむしとをひらく
「すごもり むし」「すごもり の むし」と「の」が入る場合と入らない場合があります。
「蟄虫(ちっちゅう)」という言葉もあり、意味は地中にこもって越冬する虫という意味です。
「蟄」には「隠れる」という意味があり「蟄虫」で地中に隠れた虫という意味にもなっています。
ただここで使われている「虫」は、いわゆる昆虫ではなく、蛇や蛙等、地中にこもって越冬する小型の生物のこと全般を指します。
「啓」は「ひらく・あける」という意味があります。
春になって地中で暮らしていた虫がそろそろ出てくる頃合いを示した言葉になっています。
春とつく言葉で「春雷(しゅんらい)」があります。春雷は「虫だしの雷」とも呼ばれていて、冬眠していた地中の虫たちが雷鳴に驚いて目覚めるという意味です。
蟄虫啓戸は啓蟄の初候ですが、対する七十二候として秋分の次候「蟄虫坏戸」があります。
蟄虫啓戸-啓蟄の初候の時期
蟄虫啓戸の時期・期間は概ね3月5日から3月9日ころです。
正確な期間は下記の通りです。
- 2021年:3月5日~3月9日
- 2022年:3月5日~3月9日
- 2023年:3月6日~3月10日
- 2024年:3月5日~3月9日
- 2025年:3月5日~3月9日
二十四節気は年によって期間が変わるため、七十二候もそれぞれ期間が年によって変化します。
蟄虫啓戸の中国(宣明暦)の名称と意味
二十四節気・七十二候は元々中国で生まれたものです。二十四節気はほぼそのまま中国での書き方ですが、七十二候は中国のままだと意味が通じない部分や日本らしくない部分があり、江戸時代に入って渋川春海ら暦学者によって日本の気候風土に合うように改訂され、「本朝七十二候」が作成されました。
現在では、1874年(明治7年)の「略本暦」に掲載された七十二候が主に使われています。
元々の中国(宣言暦)の七十二候は下記のようになっています。
- 名称:桃始華
- 意味:桃の花が咲き始める
日本において桃の花は3月下旬から4月上旬になる地域が多いため、日本だと違和感のある季節を現していたと言えます。
蟄虫啓戸に関すること
蟄虫啓戸に関することを紹介します。
蟄虫啓戸の季節感
蟄虫啓戸は100年以上前に考えられたもので、今の季節感にあっているかとと言えば概ねあっている頃だと言えます。
関東より西であれば最高気温が10度を超える時期になっており、服装も冬物から春物に変わってくるころですよね。
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