毎年2月上旬に行う年中行事と言えば「節分」というご家庭も多いでしょう。
しかし、節分そのものは年に4回あるということはご存知でしょうか?
節分は、立春・立夏・立秋・立冬の前日、季節が始まる前日のことです。
節分とは何か詳しく説明します。
節分は季節の区切り
節分とは元々、雑節(二十四節気・五節句などの暦日のほかに、季節の移り変りをより適確に掴むために設けられた、特別な暦日のこと)の1つでした。
正確には二十四節気に基づくものなので、雑節に加えるのもおかしな話ですが。
二十四節気は春夏秋冬をそれぞれ6つにわけて24の季節を表す言葉です。その24の中に立春・立夏・立秋・立冬があります。
それぞれ春になる日、夏になる日、秋になる日、冬になる日です。その前日は
「季節を分ける」
日として節分となっています。
だから節分は年に4回あることになります。
ただ江戸時代以降は、立春の前日の節分のみを指すことが多くなってきました。
立春前日の節分のみが節分と言われるようになった理由
現在では「節分」と言えば2月上旬、立春の前日のみが取り上げられるようになっていますが、そうなった理由は立春は江戸時代までは新年と考えられていたからです。
江戸時代は太陰太陽暦という旧暦が主流でした。太陰太陽暦では立春に最も近い新月(月が全く見えない日)を元旦としていました。
また立春も同じように新年と考えられていました。
つまり節分は大晦日(12月31日)と同じであり年越しの日として意識されていた訳です。
今でもその名残として、厄払いは節分までに行く(新年前に行く)というものが残っています。
また数え年は厳密には節分を過ぎた立春で1歳年を加えるとされています。今でも厳格な神社やお寺は厄払い時の年齢「数え年」の期間を立春から節分までで区切っています。
大晦日と同じであれば特別視された理由がわかりますよね。
でも、なぜ立春は日にちが固定されてなくて、節分の日はズレることがあるのか、不思議に思うかもしれませんが、科学的・天文学的に立春の日は決まっているからです。
立春の日は科学的・天文学的に決まる
江戸時代、いやそれ以前から立春や立冬、春分や夏至といったものはあったため、非科学的に決まっていると思っている方もいますが、実際には科学的・天文学的に立春や立冬、夏至や春分の日は決まっています。
地球を丸い球体の中心に置いたと考えて下さい。
この球体を天球と良い、天球には太陽が通る道が出来ます。この道を黄道と言います(正確には人の目で見て太陽が通る道)。
そして自転軸に対して地球の中心から直角(垂直)にした面を天球の描いたのが「天の赤道」です。
この黄道と天の赤道が交わる瞬間が年に2回あります。南側から北側に交わる日を春分、北側から南側に交わるのが秋分となります。
春分の日を太陽黄経が0度となり、夏至が90度・秋分が180度・冬至が270度です。
冬至と春分のちょうど中間である315度が立春となります。
つまり太陽黄経の角度で科学的・天文学的に二十四節気である立春や立冬、夏至や冬至、春分や秋分は決まっています。
ただ1年間は約365.2422日であり、また他の天体の影響で更に前後することもあります。そのために日付の変動がどうしても発生してしまいます。
「春分の日」「今日は立春」と言われますが、実際には「春分」「立春」というのは瞬間のことであり日をつけて、その瞬間があった日として認識されています。
また天文学的に決めているので、春分の日(春分の瞬間)等の二十四節気の日にち(時間)を発表しているのは国立天文台となっています。
節分の日 一覧
立春・立夏・立秋・立冬前の節分の日の一覧です。2000年から2050年まであります。
年 | 立春前 の節分 |
立夏前 の節分 |
立秋前 の節分 |
立冬前 の節分 |
2000年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2001年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2002年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2003年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2004年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2005年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2006年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2007年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2008年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2009年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2010年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2011年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2012年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2013年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2014年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2015年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2016年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月5日 |
2017年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2018年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2019年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2020年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月5日 |
2021年 | 2月2日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2022年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2023年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月7日 |
2024年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2025年 | 2月2日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2026年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2027年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2028年 | 2月3日 | 5月3日 | 8月5日 | 11月5日 |
2029年 | 2月2日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2030年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2031年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2032年 | 2月3日 | 5月3日 | 8月5日 | 11月5日 |
2033年 | 2月2日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2034年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2035年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2036年 | 2月3日 | 5月3日 | 8月5日 | 11月5日 |
2037年 | 2月2日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2038年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2039年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2040年 | 2月3日 | 5月3日 | 8月5日 | 11月5日 |
2041年 | 2月2日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2042年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2043年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2044年 | 2月3日 | 5月3日 | 8月5日 | 11月5日 |
2045年 | 2月2日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2046年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2047年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2048年 | 2月3日 | 5月3日 | 8月5日 | 11月5日 |
2049年 | 2月2日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月5日 |
2050年 | 2月3日 | 5月4日 | 8月6日 | 11月6日 |
2021年は124年ぶりに2月2日が節分になることで話題になりました。なお1984年は2月4日が節分で、2月3日以外が節分になったのは37年ぶりとも言われました。
節分の行事と考え方
節分は科学的に決まっていることを書いてきた後ですが、昔は季節の変わり目には邪気=邪鬼=鬼が生じると信じられていました。
その鬼を追い払う行事が今も残って節分の豆まき等の行事になっています。
節分の豆まきは600年以上続く行事
豆まきの行事は記録が残るものでは1425年(応永32年)に既に行われていたことが書かれています。つまり600年も続く年中行事になっている訳です。
他にも9世紀後半から10世紀にも炒り豆で鬼の目を潰したと書かれている書物もあり、伝説から数えれば1000年以上続いているものとされています。
恵方巻は由緒不明
節分は恵方巻を食べるというのが一般化してきていますが、恵方巻を食べるという文献は大正時代以前には見つかっていません。
一般的に恵方巻を節分で食べるようになってきたのは1970年代で、暦の歴史・日本の年中行事の中ではごく最近のものです。
大阪が発祥とされていますが、それ自体も明確な出典がある訳ではありません。
土用と節分
年に4回ある節分ですが、節分は土用明けの日になります。
土用と言えば夏の土用の丑の日が有名ですが、節分同様、季節の変わり目の約18日間のことです。
節分に関するリンク
以上、節分についてでした。
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