大祓(大祓え)は、例年6月30日と12月31日に行われる神道における神事です。
若い世代にとってはあまり馴染みの無い神事でしたが2020年・2021年には少し話題になりました。
また雑節に数えられることもあります。
大祓えとはどういった神事なのか、詳しく説明します。
大祓え とは
- 書き方:大祓・大祓え・送り仮名の「え」を付ける場合とつけない場合があり
- 読み方:送り仮名「え」をつけない場合、おおはらえ・おおはらい
大祓とは、6月と12月の晦日、つまり6月と12月の最終日に行われる神道儀式「祓」の1つです。
「祓」の概念はちょっと難しいのですが、非常に簡単に説明するといわゆる罪(つみ)や穢(けがれ、神道として汚いとされる行為)、災厄(災難や病気など)を心身から取り除くための神事・呪術のことです。
時代劇等で、病気を治すのに祈祷を行うのも「祓」の1つですし、厄祓いも「祓」の1つですし、神社で購入する御守や御札も「祓」の形の1つです。
祈祷によって病気が治る訳が無いというのは昭和に入ってから当たり前のこととなりましたが、それ以前は病気を治すためには祈祷は当たり前のことでした。
大祓は大きく2つに分類されます。
- 宮中祭祀としての大祓
- 民間行事の大祓
宮中祭祀としての大祓
大祓は西暦701年の大宝律令(今でいう法律)で正式に宮中行事となり、応仁の乱(1467年から1477年)まで行われていた神事でした。
基本的には旧暦の6月と12月の晦日(旧暦においては月末は29日と30日のどちらか)に行われていますが、天皇即位後の最初の新嘗祭である大嘗祭の前後や、未曾有の疫病の流行、災害の襲来などでも厄祓いとして、大祓を行っていました。
応仁の乱により当時の都であった京都市街が荒廃したことで儀式が行われなくなってしまったそうです。
しかし明治4年(1871年)に復活し、1873年の新暦の移った年から新暦の6月30日と12月31日に行うようになりました。
なお大正、昭和、平成の大嘗祭に際しても大祓は行われました。
民間行事としての大祓
宮中行事であった大祓ですが、江戸時代になると民間で行われるようになってきました。
主に神社の行事として行われるようになり現在でも神社の神事として多くの神社で行われています。
民間としての大祓は6月の大祓を「夏越の祓(なつこしのはらえ)」、12月の大祓を「年越の祓(としこしのはらえ)」と言うようになっています。
夏越の祓
6月30日に大祓である「夏越の祓」では「茅の輪くぐり」というものが多くの神社で行われています。
「茅の輪」とは上記写真のもので、参道の鳥居や笹の葉を建てて注連縄を張った結界内に茅で編んだ直径数2~3メートルほどの輪のことです。
この茅の輪を正面から最初に左回り、次に右回りと 8字を描いて計3回くぐることで、半年間に溜まった病と穢れを落とし残りの半年を無事に過ごせることを願うという儀式を行うところが多くなっています。
旧暦の6月は梅雨が明け、暑くなる時期であり過酷な夏を乗り切るための戒めでもあったと言われています。
年越の祓
年越の祓は、1年間の穢・不浄を祓う大切な行事で、今でも神社で受ける人がいます。
大きな神社になると予約制で行っている場合もあり、大晦日の年中行事として参加されている方もいます。
大祓に関すること
大祓に関することを記していきます。
2020年の大祓
2020年は新型ウイルスのこともあり12月31日にも茅の輪くぐりを行っていた神社がいくつかありました。
そして人が集まれないために、大祓人形(おおはらい ひとがた)という人の形がした紙に名前と年齢(数え年が一般的)を書いて、代わりにお祓いとする神社も多くなりました。
昔は疫病が流行ると大祓を行うことがあったため、2020年はいろいろな神社が大祓を拡大して行っていました。
6月30日の大祓がニュースになることもありました。
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