群来はニシンが産卵期に入り、海岸沿いに押し寄せ、オスのニシンが白子をばら撒くことで海が乳白色に染まることです。
明治期までは日本海側の各地で見られた現象ですが、現在では北海道の日本海側、小樽や留萌などでしか見ることが出来なくなりました。
時期は早い年であれば1月下旬くらいから始まり、通常は2月3月に見られる光景です。
群来は北海道の人にとって、春を最初に感じられる自然現象と言えます。
群来について
- 読み方:くき(ぐんらいと読む場合もあり)
「大群で来る」という意味が語源と言われることが多くなっています。
主に産卵期のニシンが大量に海岸に押し寄せてきて産卵をすることを意味しますが、鰊群来(にしんくき)という場合もあります。
現在では北海道でのみ見られる光景であり使われる言葉ですが、明治頃は本州の富山あたりまで見られたと言われています。しかし徐々に群来が見られる場所は北上していきます。
現在は、ほぼ北海道でしか見られなくなりました。ただし北海道以外で見られなくなった明確な理由はわかっていません。
時期は早い年では1月下旬くらい、概ね2月から3月です。遅い年になると4月にも観測されることがあります。
水温の上昇具合、その年に来るニシンの群れの年齢等で大きく変化すると言われています。
ニシンの卵はお正月の縁起物として食べられる「数の子」となります。
北海道で最初に感じられる自然な春の季語
季語となっているものの多くは旧暦におけるものであり、今の新暦よりも1ヶ月遅いものが中心です。
例えば「五月雨」という季語は6月頃、梅雨で小雨が降り続ける様子を本来は表しています。このように季語は1ヶ月遅れです。
しかし北海道は本州よりも更に1ヶ月ほど季節がズレるため合計で2ヶ月ほど季語の季節感からズレてしまいます。
二十四節気や七十二候にしても、1ヶ月ほどのズレがあり、いくらテレビ等で「立春なり、暦の上では春となりました」と言われても全く春を感じられないのが北海道の特色です。
そんな中、北海道の人が自然現象で春を最初に感じられるものが「群来」と言えます。
小樽や留萌等で群来が観測されると北海道の地元テレビ局がその様子をニュース等で流し、春の訪れを感じさせてくれます。
ニシン(鰊)は、春告魚(はるつげうお)とも呼ばれ、まさに北海道においては春を告げる魚となっています。
明治期にはニシン漁で財を成した人が大勢北海道にはいて、ニシン漁で財を成した人が建てたニシン漁をする人が住み込みで働いたり、ニシンの加工で使われた大きく立派な建物は「鰊御殿」と言われ、今も文化財として残っています。
小樽市祝津にある小樽市鰊御殿などが有名です。
以上、北海道で最初におこる春の自然現象「群来」についてでした。
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