九星気学等の占いの基本を知る上で決して欠かすことの出来ない思想が「陰陽」もしくは「陰陽説」です。
陰陽とは、森羅万象、宇宙のありとあらゆる事物をさまざまな観点から陰(いん)と陽(よう)の二つのカテゴリに分類する思想です。
実際にはどういう考え方なのか詳しく説明します。
陰陽・陰陽説とは何か
元々は、混沌(カオス)とした状態があり、その混沌の中から光に満ちた明るく澄んだ気、つまり陽の気が上昇して天となり、重く濁った暗黒の気、つまり陰の気が下降して地となったとします。
この2つの気の働きによって万物の現象を理解して、将来までも予想しようとするのが陰陽思想です。
例えば、夜と昼・夏と冬、光と闇、柔と剛というように相反するのに、もう一方が無ければなり得ない・存在しないことです。
昼は夜という事象があって、昼という認識が行われます。夏も冬という事象があるからこそ認識出来るものです。
森羅万象、宇宙のあらゆるものは相反する陰と陽の2つの気によって消長盛衰し、陰と陽の2つの気が調和して初めて自然の秩序が保たれるとことになります。
善悪二元論とは全く違う陰陽
世の中には善と悪という2つの分け方もあり、陰陽と混合する人もいますが、善悪二元論と陰陽は全く異なるものです。
善悪は、善は絶対に良いもの、悪は悪いものと、という解釈が前提になりますが、そもそも陰陽には善悪は関係ありません。
勧善懲悪という概念は陰陽とは全く異なるものです。
そもそも2つが無ければ成り立たない、陰と陽があってはじめて1つの要素となるものです。
ただし人間で言えば、誰もが善と悪の2つの気を持っているから、人間が成り立つという考え方もあります。
病気も陰陽から
陰陽説では病気も体内の陰陽の気が平衡・バランスを崩すことから起こるとされています。
もちろん科学の進んだ現在では、病気になる理由はいろいろと分かっています。
しかし漢方薬で言えば、体調を整えるというのが根底の思想にあり、体調を整えるとは陰と陽の気のバランスを整えるというものです。
漢方医学はバランスの医学と呼ばれているのは、その思想が根底にあるからです。
陰陽の区分・性質
陰陽を区分したり陰陽の性質を分類すると下記のようになります。
陰 | 陽 | |
基本的性質 | 遠心力 | 求心力 |
傾向 | 収縮 | 膨張 |
特性 | 融合、同化 集合、編成 |
分裂、分離 分散、拡散 |
動き | 不活発、緩慢 | 活発、敏速 |
振動 | 短波、高周波 | 長波、低周波 |
方向 | 下降、水平 | 上昇、垂直 |
向き | 下、後、右 | 上、前、左 |
位置 | 外部、周辺 | 内部、中心 |
内外 | 外側 | 内側 |
重量 | 軽い | 重い |
光度 | 暗い (晦冥、月光) |
明るい (光明、日光) |
湿度 | 湿潤 | 乾燥 |
密度 | 緻密 | 希薄 |
外形 | 小さい | 大きい |
形状 | 収縮性 | 膨張性 |
感触 | 柔軟 | 堅硬 |
素粒子 | 電子 | 陽子 |
気候風土 | 寒帯気候 湿潤気候 |
熱帯気候 乾燥帯気候 |
生物特性 | 植物的 | 動物的 |
性別 | 女性 | 男性 |
呼吸 | 吸気 | 呼気 |
器官構造 | 実質器官 凝縮性 |
中空器官 膨張性 |
神経 | 末梢神経 副交感神経 |
中枢神経 交感神経 |
補瀉 | 補 | 瀉 |
態度、感性 | 沈滞、消極的 防御的 |
活発、積極的 攻撃的 |
命 | 死 | 生 |
仕事 | 心理的 精神的 |
物理的 社会的 |
文化 | 精神的 | 物質的 |
次元 | 空間 | 時間 |
武術 | 柔 | 剛 |
戦闘 | 防御 | 攻撃 |
夫婦 | 妻 | 夫 |
親 | 母 | 父 |
表裏 | 裏 | 表 |
天体 | 太陰(月) | 太陽(日) |
天気 | 雨 | 晴 |
昼夜 | 夜 | 昼 |
天地 | 地 | 天 |
温度 | 冷 | 熱 |
数 | 偶数 | 奇数 |
商売 | 損害 | 利益 |
状況 | 静 | 動 |
人間 | 精神(心) | 肉体(体) |
春秋 | 秋 | 春 |
夏冬 | 冬 | 夏 |
東西 | 西 | 東 |
南北 | 北 | 南 |
背腹 | 腹 | 背 |
感情的 | 抑制 | 興奮 |
内臓 | 五臓(六臓) | 五腑(六腑) |
人体組織 | 皮膚、骨 | 筋肉、内蔵 |
部分 | 下部 | 上部 |
高さ | 低い | 高い |
音の高さ、声調 | 低 | 高 |
光闇 | 闇 | 光 |
山 | 北 | 南 |
川 | 南 | 北 |
なんでそうなるのかわからないものもあるかと思います。
例えば、山は南が陽・北が陰、川は北が陽で南が陰になっていますが、意味がわからないですよね。
諸説ありますが、陰陽で区別した時に中心地から川を見た時、背面に太陽(つまり南側に太陽)があり、見ている方向が北が明るく反射しているから陽となったという説が主流です。
川の上流が北だから、陽となったという説もあります。
一番最初の求心力が陽で、遠心力が陰というのもイメージしにくいものです。
実際には、遠心力は広がるイメージがあるから陽とイメージを持つと思います。これは中国が世界の中心という中華思想から内に向かうものが陽であり、外に向かうものが陰となっているからでしょう。
時代にあっていない陰陽
男性は陽、女性は陰となっていますが、陰という字面のイメージからマイナス面が強調され、男性を陽・女性を陰とするのは時代にあっていない、または男女差別だと見做す考え方もあります。
陰陽説(というよりも日本に陰陽説を取り入れて発展した陰陽道ですが)は日本の神道にも影響を大きく与えます。
しかし女性を陰とすると矛盾が生じてしまいますが、これについては無視をしているんですよね。
神道においての頂点となる神は天照大御神であり、女神です。
でも陰陽説では女性は陰です。でも陽である太陽神が女神だから陰とすると矛盾が生じます。
だから本来、陰陽説は日本の神道には向かないものですが、なぜか密接にかかわってます。
以上、陰陽・陰陽説についてでした。
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