霞始靆(かすみはじめてたなびく)は、七十二候の第五候の季節(略本暦による呼び名)です。
雨水の次候となり、「霞がたなびき始める」という意味になります。
霞始靆について詳しく説明します。
霞始靆の読み方と詳しい意味
霞始靆の読み方は下記の通りです。
- かすみはじめてたなびく
霞(かすみ)は春の季語で、意味は春になって冬に比べて湿度が上がり塵(黄砂等)が舞い始めて、ぼんやりとなる状況のことです。
「靆=たなびく」は霞や雲が層となって漂っている様子です。
つまり霞始靆は、春になって霞が出始めてたなびき始める頃、という意味になります。
略本暦以前の七十二候(貞享暦)では「霞彩碧空(かすみ へきくうをいろどる)」とされており、青空を霞が彩るようになった、とされていました。
霞の季語とよく使われる神様がいます。佐保姫です。
- 佐保姫の糸染め掛くる青柳を吹きな乱りそ春の山風(平兼盛)
- 佐保姫の霞の衣ぬきをうすみ花の錦をたちやかさねむ(後鳥羽院)
- 霞の衣裾は濡れけり佐保姫の春立ちながらしとをして(山崎宗鑑)
春の山の裾野にたなびく霞を春の神様である佐保姫の着物の裾にたとえているとも言われています。
霞始靆-雨水の次候の時期
霞始靆の時期・期間は概ね2月24日から2月28日ころです。
正確な期間は下記の通りです。
- 2021年:2月23日~2月27日
- 2022年:2月24日~2月27日
- 2023年:2月24日~2月28日
- 2024年:2月24日~2月28日
- 2025年:2月23日~2月27日
二十四節気は年によって期間が変わるため、七十二候もそれぞれ期間が年によって変化します。
同時期の中国(宣明暦)の七十二候の名称と意味
二十四節気・七十二候は元々中国で生まれたものです。二十四節気はほぼそのまま中国での書き方ですが、七十二候は中国のままだと意味が通じない部分や日本らしくない部分があり、江戸時代に入って渋川春海ら暦学者によって日本の気候風土に合うように改訂され、「本朝七十二候」が作成されました。
現在では、1874年(明治7年)の「略本暦」に掲載された七十二候が主に使われています。
元々の中国(宣言暦)の七十二候は下記のようになっています。
- 名称:鴻雁来
- 意味:雁が飛来し始める
略本暦における「鴻雁来」は寒露(10月中旬頃)の七十二候です。つまり秋のこと。
この七十二候に関しては、日本とは全く反対になっています。
霞始靆に関すること
霞始靆に関することを紹介します。
霞始靆の季節感
霞始靆は100年以上前に考えられたもので、今の季節感にあっているかとと言えば概ねあっている頃と言えます。
黄砂がよく見られる頃であり、花粉も飛び交う頃であり、湿度も上がってくる頃で霞が出始める頃だからです。
霞始靆に関するリンク
霞始靆に関するリンクです。
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