鏡開きは、日本の年中行事の1つです。
お正月に供えた鏡餅を下げて食べる風習として江戸時代から続いています。
どういった起源があり、どのようなことを行うのか詳しく説明します。
鏡開きとは
- 読み方:かがみびらき
- 別称:鏡割り(かがみわり)
お正月にお供えとして用意する丸いお餅が2つ重なりみかんが置いてある「鏡餅」を食べる日です。
鏡餅はお供え物という認識は多いものの、何に対して供えているのか知らない人も多いと思いますが、神道なら年神(大年神・歳神)、仏教な仏、もしくはご先祖様に供えるものとなっています。
年神とはどういう神様かと言えば、須佐之男命(スサノオノミコト)と神大市比姫(カムオオイチヒメ・大山津見神の娘)の間に生まれた神様です。
兄妹神として宇迦之御魂神(いわゆる稲荷神社の神様・女神とされる)がいます。
宇迦之御魂神と同じで、穀物神・農耕神であり、農家が多かった江戸時代においては豊作を祈る意味もありました。
神様や仏様に供えたものなので、供えるをやめて食べる時は「下げて食べる」と言います。
供えた鏡餅を食べると無病息災になると言われており、無病息災を願って食べるものだとされています。
食べ方は一般的にはお汁粉ですが、地域によってはお雑煮やかき餅(あられ)、地方の汁物に入れて食べることがあります。
鏡開きの起源・歴史・成り立ち
江戸時代において商家では蔵開きの行事を行っていたのに対して、武家では新年11日(旧暦の1月11日、江戸時代初期では1月20日)に、鎧などの具足に供えた具足餅を下げて雑煮などにして食し「刃柄(はつか)」を祝うとした行事でした。
また、女性が鏡台に供えた鏡餅を開くことを「初顔」を祝うと言い、この武家社会の風習が一般化したものが鏡開きです。
江戸城では、重箱に詰めた餅と餡が大奥にも贈られ、汁粉などにして食べたそうです。
刃物で餅を切るのは切腹を連想させるので手や木鎚で割り、「切る」「割る」という言葉を避けて「開く」という言葉を使用していました。
鏡は円満を、開くは末広がりを意味しています。
また、鏡餅を食すことを「歯固め」といい、硬いものを食べ、歯を丈夫にして、年神様に長寿を祈るためとされています。
なお鏡餅の割れ方で吉凶を占うこともあり、鏡餅が多く割れると豊作となると言われていたそうです。
鏡開きの日にち
地域により異なりますが、現在は関東地方を中心に1月11日となっています。
明治初期までは旧暦の1月11日で新暦になってからは新暦の1月11日に行うことが多くなっています。
これは松の内まではお供えして、松の内が終わった1月11日に行うものとしたからです。
ただ1650年頃までは、1月15日から1月20日の間に行われていました。
1651年に徳川家光が旧暦4月20日に亡くなったため、20日を忌日として避け、11日になったとされています。
また江戸は火事が多く、いつまでも燃えやすいものを家の前に置くことを嫌って、15日だった松の内を1月7日までにしたとも言われています。
ただ伝達手段がまだ人から人しか無かった江戸時代であったため、地方には広がらず、そのまま15日・20日に鏡開きを行う風習が残っています。
京都や近隣の一部では1月4日に鏡開きを行うところがありますが、明確な理由はわかっていません。
西日本では、陰暦(ほぼ旧暦と同義)の2月15日に行われる涅槃会(仏教行事)に合わせて、鏡餅を割ってあられを作って食べ、無病息災を願う風習があります。
釈迦の鼻くそに形が似ていることから「花供曽(はなくそ)などの名前で参拝者に配られるそうですが、食べにくいですよね(笑)
つまり鏡開きは下記の日にちとなっています。
- 関東の鏡開き:1月11日が多い
- 関西の鏡開き:1月15日が多い
- 1月20日の地域もある
- 旧暦の2月15日に行うのが一番遅い
なお秋田県等の一部地域で、鏡開きで餅を食べず、そのまま外で凍らして「凍み餅(しみもち)」にして夏場に食べるという風習が残っています。
鏡開きで食べるもの
鏡開きで食べるものは、お汁粉という方が多いと思いますが、特に決まっているものではありませんでした。
ただ小正月に小豆粥・小豆を食べる風習からお汁粉になったとも言われています。
鏡開きに関すること
鏡開きに関することを記していきます。
鏡開きのお餅はカビていた
今でこそ鏡開きの餅はビニールでパッケージがされてカビないようになっていますが、昭和頃までは普通に餅を出していたため、鏡開きの時には鏡餅はカビていることが多くなっていました。
江戸時代であればまだ暖房もそれほど無かったので、湿度も無かったからそれほどカビなかったのかもしれませんが、昭和になればエアコン・石油ストーブは当たり前で、石油ストーブの上にヤカンを置いて沸かす家庭が多く、湿度もそれなりにあり、カビが発生する条件が揃っていました。
だから鏡開きで食べる鏡餅はカビを落としてから食べたという記憶がある方も多いと思います。
管理人も子供の頃に鏡開きで食べたお餅はカビていて母が一生懸命カビの部分を落としていたのを覚えています。
今ならカビているのなら捨ててしまえ!となりそうですが、神様に供えた鏡餅を食べることに意味があるため、カビても食べるようにしていました。
コメント