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正月事始め-お正月の準備を始める日と正月飾り(門松・注連飾り・鏡餅)について

正月・元日

門松や注連飾りといったお正月準備はいつから始めるのが良いのか?と悩むこともあると思います。昔は正月事始めという日が決まっており、正月事始めからお正月準備が始められていました。

正月事始めは、12月13日もしくは12月8日とされています。正月事始めについて詳しく説明します。

またお正月を迎えるにあたって準備すべきもの、門松や注連飾りについても説明します。

正月事始めについて

  • 読み方:しょがつことはじめ

正月事始めは、12月13日の地域と12月8日の地域にわかれています。

12月13日が正月始めとなった理由

江戸時代よりも以前からお正月の準備は12月13日(明治初期以前は当然旧暦の12月13日)と決まっていた理由は今で言う吉兆の判断に基づいたものです。

西暦862年から1685年までの間、日本は宣明暦という暦(カレンダー)を使っていました。

この暦には、二十七宿という占い(暦注)が記載されていました。今でいう六曜(大安や友引)みたいなものであり、当時は六曜よりも二十七宿でその日の吉凶を知っていました。

旧暦における12月13日は、二十七宿の「鬼宿」となっており、鬼宿はすべて吉、今で言う大安であり大吉日とされていました(諸説あり、結婚のみは凶としている場合もあります)。

お正月には歳神様を迎えるという考え方があり、歳神様を迎える準備を始めるのに「鬼宿」なら良い日だと考えられ、この日が選ばれたと言われています。

須佐之男命(スサノオノミコト)と神大市比姫(カムオオイチヒメ・大山津見神の娘)の間に生まれた神様で、兄妹神として宇迦之御魂神(いわゆる稲荷神社の神様・女神とされる)がいます。
宇迦之御魂神と同じ穀物神・農耕神であり、農家が多かった江戸時代以前はとても大切にされていた神様です。

元々は旧暦12月13日でしたが、明治6年(1873年)に旧暦から新暦に変わった際、12月13日という日付だけが移行して、そのまま新暦でも12月13日のままとなりました。

12月8日が正月事始めとなった理由

今でも書店に行けば「歳時記」と書かれた書籍がいろいろと販売されています。

歳時記とは四季の事物や年中行事などをまとめた書物のことです。このサイトは歳時記と暦のウェブ版を目指して作っています。

なお現在ではもう1つ歳時記には意味があり、俳諧・俳句の季語を集めて分類し、季語ごとに解説と例句を加えた書物のことを指す場合もあります。

ここでは前者の意味で歳時記を使っています。

この歳時記ですが、江戸時代には有名なものがありました。「歳時故實大概」と呼ばれるものや「江戸總鹿子新増大全」と呼ばれるものです。

これらの歳時記には(旧暦の)12月8日が正月事始めと記されていました。

古事記等の日本神話における神「タケミカヅチ」が魔物退治に出陣した日が2月8日で、帰っていたのが12月8日だったことから、2月8日を事始め・12月8日を事納めとしました。

神様が戻ってきたので、12月8日が正月のことを取り賄い始める日とし、2月8日を正月のことを取り賄い納める日としたと決められた訳です。

ただ他の説もあります。

2月8日は人にとっての事始め(物事を始める日)であり、12月8日は事納め(物事を終える日)であり、逆に12月8日は神様にとって事始めであり、2月8日は事納めであるという考えの元、神様を迎えるお正月の事始めは12月8日としているというものです。

12月8日か12月13日か、地域で異なる

どちらの説を信じるか、伝承が地域で残っているかで、12月8日からお正月の準備を始めるのが伝統となっている地域と12月13日から始めるのが伝統となっている地域があり、どちらが正解というものもありません。

ただ12月13日に行う地域が全国的には多くなっています。

もっと明治以降クリスマスの存在が大きくなり、昭和中期からは完全にクリスマスが12月25日までのイベントとなり、お正月準備はクリスマスが終わってから行うもの、ということが普通になりました。

ただお正月準備だけを考えれば、12月8日、12月13日から始めても昔の日本の伝統と言えるので、何もおかしなことではありません。

しかしクリスマス前からお正月準備をして門松等を出しているとおかしない人と思われる可能性が現在ではあります。

お正月の飾り付けは実際、いつ行うのが良いのか?

実際のところ、クリスマスまではクリスマスを楽しみ、クリスマスが終わるとお正月準備を始めるという方も多いでしょう。

スーパーマーケットにおいても、12月24日まではクリスマス商品が並び、12月25日になると従業員が総出でお正月売場を作っているのを見かけるのではないでしょうか?

クリスマス商品が売れ残ると売場の片隅に追いやられて20%OFFや半額のシールが貼られていたりして。

ということで12月25日もしくは12月26日以降からお正月準備を始めると思いますが、門松や注連飾り等は、もうその頃から出しても全く問題ありません。

お正月飾りを行うのに縁起の良い日・悪い日

逆にお正月飾りを行うのに縁起の良い日、悪い日があるのでは?と思うかもしれませんね。そのとおり、縁起の良い日・悪い日があります。

一般的には12月28日までに終わらせるのが良いとされています。もし28日までに出来なかった場合は12月30日に行うのが良いとされています。

縁起の良さから言えば12月28日は8(八)がつくので末広がりで縁起が良いとされています。逆に29日は「苦(九)が末」と言われ縁起が悪い日となります。

12月31日にお正月飾りを行うことを「一夜飾り」と言い、神様に対して失礼な行為であり縁起が悪いものとされています。

つまり下記のようになっています。

  • 12月25日:お正月飾りOK
  • 12月26日:お正月飾りOK
  • 12月27日:お正月飾りOK
  • 12月28日:お正月飾りOK・縁起の良い日
  • 12月29日:お正月飾りはおすすめ出来ない
  • 12月30日:お正月飾りOK
  • 12月31日:お正月飾りはおすすめ出来ない

クリスマスが終わったら早めに行うのが良いでしょう。

お正月飾りの種類と意味

お正月飾りに使いもの・種類と意味について説明します。

一般的にお正月飾りで使われるものは下記のものです。

  • 門松
  • しめ縄・注連飾り
  • 鏡餅
  • 幸木

門松

読み方:かどまつ

家の門口などに立てられる松竹の飾りです。松飾り・門の松 などとも言われます。

室町時代、有名な一休さんも門松について詠んでいます。

門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし

古くは木の梢(幹の先端)などに神が宿ると考えられており、門松はその依代として、そこに歳神様を迎えて祀るという意味を持っていたそうです。

お正月に歳神を祀るということは非常に重要な儀式であり、しっかりと歳神をお迎えしないと、その年は不幸になると信じられていたこともあり、依代としての門松は欠かせないものでした。

依代とは神霊などが出現する時の媒体となるものです。

門松の一種

なお元々門松は松に限らず、榊・栗・楢・椿などの木も使われていて、常緑樹であれば良かったようです。上記写真は簡易的な門松です。

平安時代末期には門松は普及しており、鎌倉時代から竹と一緒に飾るようになったそうです。

また門松の形状や一緒に供えるものは地域性もあり、何十種類もあるとされています。

門松は1月7日(元は6日)の夕方までに片付けることが多く、そのため7日までを「松の内」と呼ぶようになったそうです。なお松の内は諸説あり、1月の6日・7日・15日・20日と地域によって異なります。

しめ縄・注連飾り

お正月飾り

門松や玄関、床の間、神棚などにしめ縄を張って飾ることもお正月飾りでは大切なことです。

しめ縄と注連飾りって何が違うんだろう?と思う方も多いと思いますが、しめ縄をより飾り付けたものが注連飾りです。

ただ諸説あって、神様が宿るところにつけるのが「しめ縄」、迎え入れる場所に飾るのが「注連飾り」とすることもあります。

神様が宿るところ、一般家庭だと神棚などが一般的です。迎え入れるところは、やはり玄関となります。

しめ縄・注連飾りは人間に災いをもたらすいう禍神が家内に入らぬように呪い(まじない)として飾られたとされてます。

一説では、天照大神の神話「天岩戸」で、天照大神と岩から出した後に縄で、もう隠れられないように岩戸を縛ったのが、しめ縄の始まりと言う人もいます。

最近ではマンションで暮らす人も増え、マンションの玄関に吊るす小さな注連飾りが売れているそうです。

鏡餅

円くて平らい鏡のように作った餅のことで、大小2つ重ねて神仏に供えるのが一般的です。

元々は歳神様に供える「お供え餅」のことでした。鏡餅という名称は、字の通り鏡の形に由来しています。どう見ても鏡に見えないと思うかもしれませんが、昔の鏡は丸形で青銅のものが多く、使われており、髪を整えたり化粧をする時に使うというよりは、神事などの宗教的な意味合いが強く、実際に神事で使うものでした。

また鏡餅は歴代天皇が継承する三種の神器の1つ、八咫鏡(やたのかがみ)を形どっているとも言われています。

鏡餅が一般的に普及し今のような形になったのは室町時代以降と言われいます。これは建築様式が変わり、建築様式に床の間が取り入れられ、床飾りとして普及したと言われています。

鏡餅

鏡餅にはいろいろなものを一緒に飾り付けますが、商売柄や地域性があります。エビや昆布、橙(だいだい)、譲葉、熨斗鮑などを飾り付けることが多かったそうです。

昭和の頃までは一般家庭では三方に白紙をしいて、大小の餅を2つ重ね、その上に串柿・干するめ・橙・昆布などを載せて飾っていましたが、平成に入り、核家族化が進み、小さな真空パックされた鏡餅をそのまま飾るところが増えました。

三方とは、神事などで使う台のことです。

三方

上記の写真の神饌(しんせん・神様へのお供え物)を載せている台のことです。

地域によるお正月飾り

地域によっては、他にも特別なお正月飾りを用意することがあります。

西日本とくに九州や四国では「幸木」というものを組んで派手に飾りを行うことがあります。関東でも一部で幸木を飾るところがあるそうです。

お正月飾りはどこで買う?

昔はお正月飾りに使うものは家庭で作ることが普通だったそうです。そのためにお正月の準備の期間が12月13日や12月8日からと長い期間が必要だったとも言われています。

徐々に専門の人が作るようになり、それを買う人が増え、今ではスーパーマーケットやホームセンター、中にはコンビニでも買えるものが出てきました。

海外で大量生産されたお正月飾りも普通にスーパーマーケットで販売されています。

でも、どこでお正月飾りを買うのが良いのか?と悩むかもしれませんが、それは特に気にしなくても良いと思います。

ただ心情的には縁起の良い場所があると思うかもしれませんね。

管理人は年末になると近くの神社の境内に出来る「歳の市」で購入しています。

歳の市

歳の市と呼ばれないこともありますが、神社の境内に屋台・露店風に注連飾りや門松、鏡餅を売るお店が建つことがあります。

中には寒い季節なのでプレハブ小屋を建てることもあります。

歳の市

神社の境内に注連飾りや門松を毎年買いに行くという方も少なからずいます。そして購入して飾り、お正月が終わると左義長・どんど焼きで燃やしてもらいます。

注連飾り

中にはその場で、注連飾りを作りながら販売していることもあります。

近くの神社で行われてないか、年末になったら是非、確認してください。12月20日頃から始まることが多くなっています。

なお食品以外は製造地を表示する義務が無いため、海外生産の門松や注連飾りには特に製造された国は書かれていません。

原料まで国内産は今では難しいですが、せめて国内で製造された門松や注連飾りが欲しい場合は、むしろネットで購入した方が良いかもしれません。

上記をクリックしてもらい楽天市場を見てもらえばわかりますが「注連飾り 国産」で検索していると11月くらいから割と多く出てきます。

以上、正月事始め-お正月の準備を始める日と正月飾り(門松・注連飾り・鏡餅)についてでした。

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