1月中旬の年中行事と言えば、左義長・どんど焼き・どんと焼きと言われる門松等のお正月飾りや御札を燃やす行事を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
多くの神社や自治体等が1月14日から1月16日にかけて行っています。神社によっては「古神札焼納祭」という場合もあります。
左義長・どんど焼き・どんと焼きとはどういった行事なのか説明します。
左義長・どんと焼き・どんど焼き とは
- 左義長の読み方:さぎちょう
地域によって言い方は非常に多く、左義長・とんど(歳徳)・とんど焼き・どんど・どんど焼き・どんどん焼き・どんと焼き・さいと焼き・おんべ焼き・鬼火たき・ 鬼火・おねび・ほっけんぎょう・ほうけんぎょう・ほんげんぎょう。道祖神祭・かまくら などと呼ばれています。
小正月(1月15日、もしくは1月14日から1月16日)に行われる火祭りの行事です。
旧暦の1月15日前後、2月15日前後に行う地域もありますし、七日正月である1月7日に行う地域もあります。
また神社で行われる神事を指す場合もありますが、神社での神事の場合は「古神札焼納祭」と言うことが多くなっています。
一般的な左義長・どんど焼きの内容
田んぼや空き地、神社の境内等に長い竹3~4本を組んで建て、その周りにその年に飾った門松やしめ飾り、書き初めや神札等を持ち寄って焼くのが一般的です。
竹を組まずにそのまま積み上げて燃やす場合もあります。
多くの地域で燃やす前に氏神神社の神職の方が神事の作法を行い、それから火をつけて燃やしますが、地域によっては歳男や厄年の人が中心になって燃やすこともあります。
かつては集落単位で行われており、正月の寄合的な行事もなっていました。
諸説ありますが、歳神さまを見送る行事にもなっています。
歳神とはどういう神様かと言えば、須佐之男命(スサノオノミコト)と神大市比姫(カムオオイチヒメ・大山津見神の娘)の間に生まれた神様です。
兄妹神として宇迦之御魂神(いわゆる稲荷神社の神様・女神とされる)がいます。
宇迦之御魂神と同じで、穀物神・農耕神であり、農家が多かった江戸時代においては豊作を祈る意味もありました。
お正月の行事の多くは歳神様への感謝と祈願を行うものが多くなっています。
鏡餅も本来は歳神様に供えるものです。
左義長・どんど焼きの歴史・成り立ち
左義長・どんど焼きについては徒然草(西暦1300年代)やそれ以前の「弁内侍日記」(150年頃)にも書かれていることから、鎌倉時代には既に行われていたとされています。
起源は諸説あり、有力とされているものは平安時代(794年から1185年)の宮中行事の「毬杖(ぎっちょう)」という杖で毬をホッケーのように打ち合うもの(「打毬」)とされています。
小正月(1月15日)に宮中の清涼殿の東庭に山科家などから進献された葉竹を束ねたものをたて、その上に扇子、短冊、天皇の吉書などを結び付けたそうです。
これを陰陽師に謡い囃して焼かせて、天覧(天皇が観覧・観察すること)に供されたそうです。
これが民間に伝わり、現在の形になったと言われています。
他にも中国で旧正月に次いで旧暦1月15日に祝う「元宵節」が関係していると言う人もいますが、今となっては明確なことはわかりません。
神社で行われる左義長・どんど焼き
地域によっては、左義長・どんど焼きは神社に納めて、行ってもらうものとされています。
年末から左義長・どんど焼きの直前までに門松・しめ縄・神札等を納めて、燃やしてもらいます。
この時に煙を浴びると無病息災になると言われていたり、燃やしたものの灰を持ち帰って自宅の周りにまくと病気になりにくいと言った健康面のご利益があるとされています。
ただし最近では、煙を嫌がる近隣住民や環境への配慮で左義長・どんど焼きを行う神社は年々減ってきています。
また燃やせるもの以外を持ち込んで、断らると逆ギレする年配者がいて神社にとっては悩みのたねとなっていることも。
おそらく神社で行われる左義長・どんど焼きは年々、減っていくものと思われます。
地域で異なる左義長・どんど焼きの作法・内容
地域によって左義長・どんど焼きの作法・内容はかなり異なっています。
また他の要素も加わり、非常に地域性に富んでいます。
この時期に行われる火祭りの多くは、左義長・どんど焼きが元になっていますが、同じ県内でも全く異なる内容となっています。
秋田県の県南で見る火祭りの違い
小京都として人気の秋田県角館市、どんど焼きではありませんが火祭りとして「火振りかまくら」という伝統的な行事を旧暦1月15日に近い2月14日に毎年行います。
縄に俵をつけて、俵に火をつけてぐるぐると回して厄を払うとともに、無病植栽・家内安全を願う行事であり、左義長の一種となっています。
角館市から車で1時間弱、同じく秋田県の県南と呼ばれる横手市では「かまくら」という火祭りの伝統行事が毎年2月15日に行われます。
かまくらを作り、中で火を焚き水神様を祀り、訪れた人にお餅等を振る舞います。
左義長・どんど焼きの1つとして考えられています。
そして横手市からまた車で1時間ほどの湯沢市では同時期に「犬っこまつり」という、これも小正月・左義長が元になっていると考えられている行事が行われます。
同じ秋田県の南部である県南と呼ばれるエリアですが、全く異なる小正月・左義長に類した行事を行っています。
途中で山や川を超えなければいけない範囲でかなり異なってくる左義長・どんど焼きの様子は非常に面白いものです。
もしくは元々、その土地にあった土着信仰と結びついたりして異なる様式に落ち着いたのかもしれません。
以上、左義長・どんど焼き・どんと焼きについてでした。
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