九星気学等の占いの基本を知る上で決して欠かすことの出来ない思想が「五行」もしくは「五行説・五行思想」です。
五行節・五行思想とは、古代中国を端とする自然哲学・思想です。万物は木・火・土・金・水の5つの元素からなるという考え方です。
実際にはどういう考え方なのか詳しく説明します。
五行説の成り立ち・由来と意味
言葉自体はそれ以前の「書経」の”甘誓”、”洪範”の章でした。甘誓篇の「五行」は五つの星の運行を示すものとする説もあり、五元素を指しているかは不明です。
一方、洪範篇の方は水・火・木・金・土であると明言され、「五行」を五元素として見ています。そのため、今現在の意味としての「五行」は洪範篇が最古であるとされています。
五行説は、その後の中国の戦国時代(紀元前5世紀から紀元前221年)の陰陽家・鄒衍 (すうえん)が唱えた学説とされています。
各王朝の変遷を五行の推移に見立てて、次のように説きました(春秋繁露に説明されている)。
五行相生
五行-相生は「ごぎょう-そうしょう」と読みます。
木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生じる
これを王朝の変遷に組み合わせて、堯(火)・舜(土)・禹(金)・殷(水)・周(木)・漢(火)と変遷したと言います。
つまり五行相生は、相手を生じさせる関係のことで「吉」良い関係であるとしています。
また陽の関係であるとしています。
- 木生火(もくしょうか):木は燃えて火を生む
- 火生土(かしょうど):物が燃えればあとには灰が残り、灰は土に還る
- 土生金(どしょうきん/どしょうごん):鉱物・金属の多くは土の中にあり、土を掘ることによってその金属を得ることができる
- 金生水(きんしょうすい/ごんしょうすい):金属の表面には凝結により水が生じる
- 水生木(すいしょうもく):木は水によって養われ、水がなければ木は枯れてしまう
五行相剋
五行-相剋は「ごぎょう-そうこく」と読みます。
水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝ち、木は土に勝ち、土は水に勝つ
これを王朝の変遷に当てはめて、周は火徳、秦は水徳、漢は土徳をもって、それぞれの王朝を開いたとしています。
つまり五行相剋は、相手に勝つ・倒す・討ち滅ぼすという関係のことで「凶」悪い関係であるとします(勝つ方から見れば吉になりますが)。
また陰の関係としています。
- 木剋土(もっこくど):木は根を地中に張って土を締め付け、養分を吸い取って土地を痩せさせる
- 土剋水(どこくすい):土は水を濁す。また、土は水を吸い取り、常にあふれようとする水を堤防や土塁等でせき止める
- 水剋火(すいこくか):水は火を消し止める
- 火剋金(かこくきん/かこくごん):火は金属を熔かす
- 金剋木(きんこくもく/ごんこくもく):金属製の斧や鋸は木を傷つけ、切り倒す
五行比和
比和は同じ性質のもののことです。水と水、木と木というように。
同じ性質・気のものが重なることで関係が強まるとされていて、「吉」良い関係であるとされています。
ただし悪いものはますます悪くなる場合もあるとしており、状況によっては「凶」関係となるとしています。
五行相乗
九星では、一般的に「相生」「相剋」「比和」の3つの関係で見ることが多いですが、五行の場合、相乗と相侮というものもあります。
相乗の乗とは陵辱する、相剋が度を過ぎて過剰になったことです。
- 木乗土:木が強すぎて、土を克し過ぎ、土の形成が不足する
- 土乗水:土が強すぎて、水を克し過ぎ、水を過剰に吸収する
- 水乗火:水が強すぎて、火を克し過ぎ、火を完全に消火する
- 火乗金:火が強すぎて、金を克し過ぎ、金を完全に熔解する
- 金乗木:金が強すぎて、木を克し過ぎ、木を完全に伐採する
- 土虚木乗:土自身が弱いため、木剋土の力が相対的に強まって、土がさらに弱められること
- 水虚土乗:水自身が弱いため、土剋水の力が相対的に強まって、水がさらに弱められること
- 火虚水乗:火自身が弱いため、水剋火の力が相対的に強まって、火がさらに弱められること
- 金虚火乗:金自身が弱いため、火剋金の力が相対的に強まって、金がさらに弱められること
- 木虚金乗:木自身が弱いため、金剋木の力が相対的に強まって、木がさらに弱められること
五行相侮
相侮は逆相剋という意味です。侮とは侮る、相剋の反対で、反剋する関係にある。
- 木侮金:木が強すぎると、金の克制を受け付けず、逆に木が金を侮る
- 金侮火:金が強すぎると、火の克制を受け付けず、逆に金が火を侮る
- 火侮水:火が強すぎると、水の克制を受け付けず、逆に火が水を侮る
- 水侮土:水が強すぎると、土の克制を受け付けず、逆に水が土を侮る
- 土侮木:土が強すぎると、木の克制を受け付けず、逆に土が木を侮る
- 火虚金侮:火自身が弱いため、金を克制することができず、逆に金が火を侮る
- 水虚火侮:水自身が弱いため、火を克制することができず、逆に火が水を侮る
- 土虚水侮:土自身が弱いため、水を克制することができず、逆に水が土を侮る
- 木虚土侮:木自身が弱いため、土を克制することができず、逆に土が木を侮る
- 金虚木侮:金自身が弱いため、木を克制することができず、逆に木が金を侮る
陰陽と結びつく五行
漢代(紀元前206年から8年)に至って、この五行説は有力になり、陰陽説と結びついて、宇宙の万物はすべて陰陽五行の相生・相剋の原理によって生成変化するとして、いろいろなものに当てはめられるようになります。
五行と惑星
五行説が生まれた頃、六行説というものも登場しています。万物は5つではなく6つから成り立つという思想です。
例えば六行説の六気は「陰・陽・風・雨・暗・明」、六方は「東・西・南・北・上(天)・下(地)」となっています。
しかし五行ほどは受け入れられる、流行ることもなく廃れていきました。
ではなぜ五行は受け入れられたのか?と言えば惑星が影響していたと言われています。
木星・火星・土星・金星・水星の5つの惑星です。
天地のすべては木火土金水の5つの要素で成り立っていて、自然界・人間社会の諸現象など森羅万象のすべてが5惑星の精気の消長盛衰によって影響されているのではないかとも考えられました。
この5つの惑星は古代中国では既に知られていましたが、惑星の運行は複雑であり神秘的なものと考えられていました。
その神秘性から地上のすべての現象と何かしらの関係があるのでないか?と考えられていたそうです。それが五行と結びついてより神秘性がある五行が受け入れられたと言われています。
五行の持つ性質
五行説では五行(五気)はそれぞれの意味を持っているとしています。
木
木の花や葉が幹の上をおおっている立ち木が原意で、樹木の生長発育する様子を表し、春の消長となっています。
火
光り輝く炎が原意で、火のごとう灼熱の性質を表し、真夏の象徴となっています。
土
植物の芽が地中から吐き出されるように発芽する形が原意で、万物を生育・保護する性質を表し、四季の移り変わりの象徴となっています。
金
土中にある光り輝くもの、鉱物・金属が原意で、金属のごとく冷徹・堅固・確実な性質を表し、秋の象徴となっています。
水
湧き出て流れる水が原意で、これは生命の泉であり、胎内と霊性を兼ね揃える性質を表し、冬の象徴となっています。
五行・五行説に関すること
五行・五行説に関することを記載していきます。
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